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【社説】「殉職海兵隊員特検法」再可決、尹大統領は拒否権を行使してはならない

登録:2024-07-06 05:52 修正:2024-07-06 10:06
4日午後、ソウル汝矣島の国会本会議場で、与党「国民の力」の議員が退場した中、共に民主党、祖国革新党などの野党議員を中心として「C上等兵特検法案」に対する表決が行われ、同法案は可決された=キム・ギョンホ先任記者//ハンギョレ新聞社

 4日の国会本会議で、海兵隊のC上等兵殉職事件の捜査に対する外圧の究明に向けた特検法が可決された。5月28日の第21代国会最後の本会議で否決されてから37日目のことだ。尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領と大統領室がC上等兵事件の捜査過程に組織的に介入していたことをうかがわせる状況は、連日暴露されている。国の最高権力機関がかかわっていたという疑惑を国民の目線で解明できるのは、独立した中立の特検による捜査だけだ。

 国会はこの日、与党「国民の力」の議員の大半が退場した中、在席議員190人中189人の賛成で「C上等兵特検法」を可決処理した。与党は前日に特検法案が上程されると、フィリバスター(無制限討論)に打って出て表決を遅延させるなど、反対の立場を固く守った。総選挙で示された民意はもちろん、各種世論調査で明らかになった圧倒的民意を無視し、ひたすら尹大統領の「防衛」ばかりに汲々(きゅうきゅう)としたのだ。

 「C上等兵特検法」の趣旨は簡単明瞭だ。昨年7月に行方不明者の捜索作業中に急流に飲まれて死亡したC上等兵の殉職事件の捜査過程で、大統領室や国防部などが真相究明を妨害したという疑惑を究明する、というものだ。昨年、海兵隊捜査団はイム・ソングン海兵隊第1師団長(当時)ら8人の指揮官の過失致死容疑を指摘したうえで警察に移牒したが、国防部がこれを回収する過程で外圧を加えたとの疑惑が持ち上がった。この過程に尹大統領が介入していたとの疑惑は、次第に深まっている。尹大統領は、C上等兵事件の記録が移牒された昨年8月2日、慶尚南道巨済市(コジェシ)の猪島(チョド)での休暇中に、イ・ジョンソプ国防部長官(当時)、シン・ボムチョル次官、イム・ギフン国防秘書官と7回にわたって32分2秒間通話していたことが明らかになっている。その後、事件記録の回収およびパク・チョンフン団長の解任が実行され、イム・ソングン師団長は移牒対象から最終的に除外された。最近では、イム・ソングン師団長の「救済運動」の背後にはキム・ゴンヒ女史がいるという疑惑まで持ち上がっている。

 大統領室と与党は、まずは高位公職者犯罪捜査処(公捜処)の捜査結果を待つべきだと主張しているが、大統領が直接かかわった事案が迅速かつ厳正に処理されるかどうかについては疑問を呈せざるを得ない。権力から独立した特検は、国民的疑惑を解明する唯一の方法だ。すでに大統領室は、C上等兵事件の本質は「パク・チョンフン大佐の抗命事件」だとの詭弁(きべん)を並べ立て、拒否権行使を予告している。今月19日はC上等兵の殉職から1年になる日だ。若い軍人の無念の死を明らかにする道を拒否すれば、尹大統領は激しい国民的抵抗に直面することになるだろう。

(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/opinion/editorial/1147774.html韓国語原文入力:2024-07-04 18:50
訳D.K

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