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「大きな北朝鮮」へと変わりつつあるロシア【朴露子の韓国、内と外】

登録:2024-06-06 06:18 修正:2024-06-06 10:53
経済路線がおおむね一致する上、理念的にも極端な反自由主義と反西欧志向、総動員社会モデルなどを共有する「大きな北朝鮮」としてのロシアと朝鮮半島の北朝鮮は、自然とこれからも長期間にわたりかなり親密な関係を一つの戦略的な選択として維持するものとみられる。
イラストレーション=キム・デジュン//ハンギョレ新聞社

 フェイスブックは北朝鮮でもロシアでも遮断されているが、ロシアの駐北朝鮮大使館は依然としてフェイスブックのアカウントを運営している。このアカウントを長い間注意深く見て感じたのは、最近になって朝ロ関係がこれまで全く観察されたことがないほど、それこそ類を見ない活況を帯びているということだ。ここ2~3週間だけでも、ロシア国会の上院代表団が平壌(ピョンヤン)を訪問し、北朝鮮国家科学技術委員会の委員長がモスクワに行っていくつかの協定を結んだ。今やかなりの数の北朝鮮留学生や学者たちが留学や研究先として再びロシアを訪れるようになり、ロシアの観光客も北朝鮮を訪れるようになった。

 一方、北朝鮮メディアは、ほぼ毎日ウクライナ侵攻など、ロシアにとって重要な問題に関するプーチンの立場に沿った記事を掲載している。さらに、北朝鮮メディアは韓国の歴代政権を「傀儡徒党」と呼んできたように、最近はウクライナ政府を「ゼレンスキー傀儡徒党」と呼んでいる。つまり、彼らはロシアとウクライナの関係を南北関係と性質が同じものと捉え、自分たちの立場とロシアの立場を同一視している。プーチン政権期間中、朝ロ関係はかなり友好的だったが、1980年代初めか1950年代初めを彷彿とさせる密着ぶりだ。

 もちろんこのような密着の現実的な背景には、北朝鮮の砲弾とミサイルのロシア輸出があるとみられている。しかし、プーチンの一挙手一投足を詳細に報道し、プーチンの防衛産業複合体に対する国家的集中投資のような国家主導、軍需企業優先の経済発展政策を非常に肯定的に説明する北朝鮮メディアの態度からして、現在の朝ロ密着は決してその場限りの武器取引に限らない。北朝鮮はプーチンのリーダーシップや経済政策に対して非常に友好的な反応を示すだけでなく、プーチンのイデオロギーの主要概念、例えばロシア独自の影響圏の構築などを「多極世界の建設に向けた集団西欧との世界的多数の闘争」として捉えるクレムリンの立場を概ね共有している。ロシアが掲げる「多極体制論」、すなわち中ロブロックが西側ブロックを牽制しうるという新たな世界秩序構築論は、「反米コード」という面で北朝鮮の主体思想や自主論などに通じるところがある。したがって現在の朝ロ密着は、当面の金銭的利益や取引のレベルを超え、ますます朝ロの発展路線と体制、理念などが互いに似ていくという側面から考察されなければならない。

 では、2022年以降のプーチン主義の経済政策や理念などを果たしてどう見るべきか。これはまず、19世紀末から追いつき型の発展を遂げてきた後発産業国家としてのロシアの全般的な近現代史の軌道の中で分析されるべきである。大きく見ると、ロシアに近代工業が定着した19世紀末からロシアには二つの開発モデルが可能だった。一つは韓国の発展の軌跡を彷彿とさせる外資や先進国の技術の誘致を中心としたモデルだった。ロシアは1890年代から1914年までこのモデルを適用し、かなり高い成長率を見せ、ロシア革命直後の新経済政策時代の1921~1929年、そしてペレストロイカ時代(1980年代末)から2022年まで活用した。全体的に比較的柔軟なソフトな権威主義的統治を伴ったこのモデルには、一つ致命的な欠陥があった。このモデルは戦乱期に円滑な戦争遂行を支えられなかったという点だ。

 このモデルを運営してきた帝政ロシア政権は、第一次世界大戦の渦中の1917年に崩壊した。その後、1929年の大恐慌と共に新たな世界大戦の可能性が高まると、スターリン指導部はその前轍を踏まないようにこのモデルを廃棄し、工業の完全な国有化を前提とした動員型戦争経済モデルを採択した。1980年代に入って、このモデルは情報通信部門で先進国に後れをとり、全般的に韓国のような新興資本主義国家の財閥経済に追いつくことができなかった。そのため、ペレストロイカ以降、再び外資誘致中心の開発モデルが脚光を浴びたのだ。

 だが、世界的覇権秩序が再編される混乱期である2020年代に入ると、プーチン指導部はもう少し国家主導的で戦争遂行に合わせた経済が必要だという判断を下した。スターリンのモデルと違って、プーチンの戦争経済は完全な国有化や全体的な輸入代替を必ずしも目指していない。プーチンのロシアでは国営および国家が大株主である企業が国民総生産の70%以上を占め、外資ではなく内資中心で開発が行われ、民間企業も国家の指揮・統制を受け国家の政治的優先順位により投資を決める。

 ソフトな権威主義でもない超強硬な権威主義統治を伴うこの国営部門主導の戦争経済モデルが、実はロシアと北朝鮮でかなり似た方式で現在共有されている。簡単に言えば、2022年以降、ロシアは一つの「大きな北朝鮮」へと次第に変わりつつあるということだ。あえて違いを探すならば、北朝鮮の親子世襲システムと違って、ロシアでは同じ政治集団の中で先輩が後輩に政権を譲る方式で政権が持続することが、違いといえば違いかもしれない。もちろん「大きな北朝鮮」社会は朝鮮半島の北朝鮮よりずっと多元的で、外国との連係性も、そして外部的影響への露出もはるかに高いが、長引く戦争の中でこの差も次第に相対化していくという印象さえ受ける。経済路線がおおむね一致する上、理念的にも極端な反自由主義と反西欧志向、総動員社会モデルなどをおおむね共有する「大きな北朝鮮」としてのロシアと朝鮮半島の北朝鮮は、自然とこれからも長期間にわたりかなり親密な関係を一つの戦略的な選択として維持するものとみられる。

 この状況で韓国外交に急がれるのは、この朝ロ密着が韓国を仮想の敵とみなさない方向で、対ロ関係と対北関係を積極的かつ主体的に管理することだ。韓国と北朝鮮の間には国連の制裁が禁じていない人道的交流や経済協力の余地があり得るし、韓国とロシアは事実上経済的に相互補完的な構造だ。北朝鮮もロシアも韓国を必要とするなら、少なくとも朝鮮半島の平和を守ることは容易になるだろう。世界的戦乱期である現在の状況で、それ以上に重要な課題は他にない。

//ハンギョレ新聞社
朴露子(パク・ノジャ、Vladimir Tikhonov)|オスロ国立大教授・韓国学(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/opinion/column/1143528.html韓国語原文入力: 2024-06-05 08:46
訳H.J

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