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[寄稿]朝日首脳が会う日…韓国はただ日本の後を追うのか

登録:2024-02-26 05:24 修正:2024-02-26 06:48
キム・ジョンデ|延世大学統一研究院客員教授
日本の岸田文雄首相=首相官邸ホームページより//ハンギョレ新聞社

 日本の岸田文雄首相が今年6月に平壌(ピョンヤン)を訪問し、北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長と首脳会談を行うという日本メディアの2月19日付の報道は衝撃的だ。日本政府はこの報道についていかなる否定もしなかった。その翌日、米国務省のサブリナ・シン副報道官は朝日首脳会談を支持するかという記者の質問に「対話が域内の安定につながるならば、私たちは当然歓迎する」と答えた。

 このような発言は、いきなり飛び出したわけではない。今月16日、林芳正官房長官が直接乗り出し、「首相はこれまでも首脳会談を実現すべく、首相直轄のハイレベルで協議を進めたいと述べている」と語った。その前日、北朝鮮のキム・ヨジョン朝鮮労働党副部長が談話で「(北朝鮮と日本)両国が近づかない理由はないだろうし、(日本の)首相が平壌を訪問する日が来るかもしれない」と述べたことに対する呼応だった。北朝鮮の日本人拉致被害者問題について、両国の間に意見の相違があるとはいえ、対話に重きを置いていることは明らかだ。

 もちろん、まだ両国間の首脳会談が実現する可能性について懐疑的な意見が多い。しかし、昨年から進められてきた両国の水面下の接触は、北東アジア情勢に重要なポイントになるだろう。北朝鮮に接近する日本には、確かに過去と明確に違う大国らしい風貌が感じられる。2022年に改正された「国家安全保障戦略」で宣言した通り、日本は防衛費を50%増額し、軍事指揮体系と制度を変えて台湾事態に介入できる準備をほとんど完了した。今年、陸海空自衛隊を一元的に指揮する統合司令部を設置すれば、在日米軍とともに台湾事態に迅速に介入できる軍事的準備態勢が整うことになる。

 これまで司令部がなかった日本自衛隊は、米軍と合同交戦規則を共有できず、周辺の危機に対応できない後方支援軍隊に過ぎなかった。そのうえ、統合幕僚長は、軍を戦闘指揮する司令官というより、首相と内閣を補佐する参謀に近く、戦争遂行とはかなり距離があった。これを革新し、自衛隊全体を迅速に戦闘に投入して行動を統一する統合司令官を設置し、これに合わせて在日米軍も自衛隊と合同作戦が容易な調整機構を設ける。軍事制度の再編が大詰めを迎えた今年初め、日本の航空自衛隊は韓米空軍とともに朝鮮半島で合同空中訓練まで行った。自衛隊のステルス戦闘機が韓国軍の作戦領域に進入する道を開いた尹錫悦(ユン・ソクヨル)政権は、戦争を知らなかったかつての無能な自衛隊とは何か違う印象を受けたはずだ。

 突然強い筋肉質の日本が誕生した瞬間、日本政府は大陸からの逆風を心配したのだろう。 中国を抑制するための軍事力と同盟体制を先に構築する日本にとって、依然として北朝鮮は障害物であり急所だった。日本政府は、静かに軍事革新を終え、台湾に向かって軍事力を集中するためには、北朝鮮を適切に管理する必要があるとみている。韓国と米国が一切北朝鮮と対話を進められなかったことで作られた外交空白を日本が狙うなら、これまた大国らしい戦略ではないか。

 今年、日本は経済成長率で韓国を追い抜き、アジア最大の投資先として急浮上している。たとえ政治が低迷しているとはいえ、史上最大値の株価好況に、中国から撤退する資本が流入する安全な投資先として、日本は明らかにアジアの中心国として再浮上している。このような日本は、「北朝鮮との対話は偽の平和だ」とし、「力による平和」だけを叫ぶ実利のない韓国政府とは品格が違う。国際外交において深く隠さなければならない憎悪と理念の言葉で外交を展開する韓国政府とは異なり、日本は大国に向けた熱望を静かにかつ体系的に実現している。中国とロシアは、地域情勢で日本を重要なライバルであり協力者と認識しているのに対し、韓国とは最初から向かい合おうとしない。

 北朝鮮と日本の首脳が会談し、年末にトランプ前大統領が帰還する運命的な瞬間が、現実味を帯びてきた。徐々に活力を失って衰退する大韓民国が2024年に新しい国家大戦略を準備しなければ、私たちは自ら運命を開拓できず、ただ日本の後だけを追いかける境遇に転落してしまうだろう。これがまさに大韓民国の失敗のシナリオだ。総選挙まで50日を切ったこの時点で、私たちが必ず考えなければならない投票の基準だ。

キム・ヨジョン朝鮮労働党中央委副部長/朝鮮中央通信・聯合ニュース
//ハンギョレ新聞社
キム・ジョンデ|延世大学統一研究院客員教授(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/opinion/column/1129548.html韓国語原文入力:2024-02-23 09:17
訳H.J

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