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[社説]俳優イ・ソンギュンさんの死、警察は「無理な捜査」ではないといえるのか

登録:2023-12-28 21:01 修正:2024-01-03 11:19
12月27日午前、ソウル鍾路区臥龍公園近くで俳優のイ・ソンギュンさんが車の中で遺体で発見され、警察が現場鑑識を行っている/聯合ニュース

 麻薬投薬の疑いで警察の捜査を受けていた俳優のイ・ソンギュンさんが、自分の車の中で遺体で発見された。イさんの家からは遺書が見つかったという。10月から警察の捜査を受けてきたイさんは、23日から24日にかけて3回目の警察の取調べを受けた。イさんは、自分の麻薬投薬容疑に関する証拠は遊興業者の室長の陳述だけだとし、容疑を否認し続けてきた。実際、国立科学捜査研究院が2回にわたり精密調査を行ったが、いずれも陰性判定が出た。にもかかわらず、警察はイさんを呼び出すたびにフォトライン(記者が取材対象者から一定の距離を置いて取材するよう設定した取材境界線)に立たせ、検証されてもいない取調べ内容をマスコミに流した。検察では「検察改革」によってなくなったこのような慣行が、堂々と行われた。イさんが有名な芸能人という理由で、被疑者の人権保護と無罪推定の原則が全く守られなかったのだ。このような状況がイさんの死と無関係だとはいえないだろう。

 警察はこれに先立ち、グループ「BIG BANG」出身の歌手クォン・ジヨン(G-DRAGON)さんも同じ容疑で捜査したが、容疑を確認できず、不送致の決定を下した。マスコミが「特定の人の陳述だけに依存した無理な捜査ではないか」と指摘すると、仁川警察庁のキム・ヒジュン庁長は「具体的な情報提供を捜査しない方がもっとおかしい」と反論した。捜査をするなというのではなく、情報提供の内容をきちんと検証したのかを聞いているのに、見当違いな返答だった。クォンさんは警察捜査によって生じた膨大な悪質コメントで負った精神的苦痛を訴えているが、警察は何の責任も負わない。警察は今回の捜査を物証なしに陳述だけに依存して着手した事実を認めながらも、「内偵捜査の段階でこれらの事実が(マスコミに)知られ、捜査が容易ではなかった」とマスコミを言い訳に立てる。内偵捜査の事実を警察が流していなかったら、捜査権のないマスコミがどうして知ることができるだろうか。イさんの場合、遊興業者の室長と交わした個人的な携帯メールまでマスコミに赤裸々に公開された。警察が強制捜査を通じて確保した証拠がマスコミに公開されたことを、警察と関係のないことだと主張しても果たして誰が信じるだろうか。

 尹錫悦(ユン・ソクヨル)政権になり、法務部は「麻薬掃討作戦」を大々的に行った。麻薬事犯に対する処罰一辺倒の政策が、かえって治療を受けなければならない人を隠してしまう恐れがあるという専門家の指摘にもかかわらず、ひたすら捜査を中心に進めた。このような雰囲気のなか、警察をはじめ捜査機関は実績に対する負担を感じざるを得ない。政権レベルで推し進める捜査で「大物」を釣ろうとする欲が悲劇につながったのではないか、振り返ってみなければならない。二度とこのようなことが起きないよう、捜査過程に対する徹底した検証と再発防止対策が必要だ。

https://www.hani.co.kr/arti/opinion/editorial/1122035.html韓国語原文入力:2023-12-28 13:29
訳C.M

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