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韓国ドラマ、主演の出演料は端役の最大2千倍…俳優の賃金実態

登録:2023-10-24 20:24 修正:2023-10-25 08:49
9つのドラマ出演者の出演料調査結果
SBSドラマ「ペイバック~金と権力~」のワンシーン=SBSユーチューブチャンネルより//ハンギョレ新聞社

 韓国でドラマの主演と端役の出演料の差はどれくらいだろうか? 俳優の出演料の差が最大で2000倍に達するという調査結果が出た。

 24日、国会文化体育観光委員会のイ・サンホン議員(共に民主党)が公開した韓国放送演技者労働組合と韓国放送実演者権利協会の報告書「演技者の賃金制度の実態調査および改善策研究」によれば、俳優のイ・ソンギュンが主演のSBSドラマ「ペイバック~金と権力~」の場合、1回当たりの最高出演料は2億ウォン(約2200万円)、最低出演料は10万ウォン(約1.1万円)で、主演と端役の出演料の差が2000倍に達することが分かった。

 報告書では、ここ2年間に放送された9つのドラマを選んで主演と端役の出演料の差を分析したが、選ばれたドラマの中で「ペイバック」の出演料の差が最も大きかった。その他選定されたドラマは「わずか1000ウォンの弁護士」「ゴールデンスプーン」「なぜオ・スジェなのか」「コッソンビ 二花院の秘密史」「海街チャチャチャ」「スタートアップ」「スノードロップ」「気象庁の人々: 社内恋愛は予測不能?!」だ。

 ナムグン・ミン主演の「わずか1000ウォンの弁護士」も主演と端役間の出演料の差が大きかった。1回当たりの最高出演料は1億6000万ウォン(約1780万円)、最低出演料は20万ウォン(約2.2万円)と800倍の差があった。「スノードロップ」は最高1億1000万ウォン(約1220万円)、最低15万ウォン(約1.7万円)の出演料、「ゴールデンスプーン」は最高7000万ウォン(約780万円)、最低10万ウォン(約1.1万円)だった。

SBSドラマ「わずか1000ウォンの弁護士」のワンシーン=SBS提供//ハンギョレ新聞社

 報告書は、現在ドラマ制作の現場で通用している最低出演料(最頻値)は放映1回当たり20~30万ウォン(約2.2~3.3万円)だが、撮影時間を考慮した場合には最低賃金に満たない劣悪な水準だと明らかにした。420人の俳優(韓国放送演技者労働組合組合員および韓国放送実演者権利協会会員)を対象にオンラインアンケート調査と深層面接を行った結果、放映1回当たりの平均撮影日数は2.63日、1日の撮影日に要求される俳優の平均労働時間は待機時間3.88時間を含め9.99時間と集計された。

 イ議員は「海外の場合、実際の撮影日数や時間を基準に出演料が策定される。しかし韓国の場合は、何日撮影に臨んだかに関係なく放映回数により策定されるため、実際に演技のために投入された労働力と時間が完全には反映されず、合理的でないとの批判が提起されている」と明らかにした。

 報告書は、俳優の出演料が「一括契約」(撮影回数と関係なく作品全体でなされる包括的契約)の慣行でなされており、出演料が低い端役の俳優たちは地方出張費・衣装代のような経費を除けば実際に受け取ることになる時間当りの出演料は最低賃金にも満たなかったり、マイナスになる場合が多いと話した。

 イ議員は「出演料下限の設定を通じて、俳優に最低限の基準と補償を付与する方向で上方平準化を図らなければならない。劣悪な出演料で生計を脅かされる端役の俳優の労働権と生存権を保護するための制度的議論が必要だ」と明らかにした。

 報告書は実態調査を土台に、(1)放送回数当たりで出演料を契約する慣行から脱し、撮影日数に基づく最低出演料を規定(2)雇用期間により差等をつけた最低出演料を設計し格差を解消(3)撮影時間および撮影日数の算定に含まれるべき演技準備・待機時間を細かく規定し、超過勤務に対する明確な規定を設けるなど、出演料制度の改善策を提示した。

イ・スンジュン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/1113452.html韓国語原文入力:2023-10-24 18:07
訳J.S

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