本文に移動

[社説]ローマ教皇庁の「同性カップルの祝福」許可を受け、韓国社会も省察を

登録:2023-12-21 06:41 修正:2023-12-21 09:24
ローマ教皇庁教理省は18日(現地時間)、同性カップルが望んだ場合は、カトリック司祭による祝福を認めるとう内容を盛り込んだ宣言を教皇フランシスコの承認を得て発表した。写真は2022年12月25日、教皇フランシスコが法王庁バルコニーで群衆に手を振る姿/AFP・聯合ニュース

 ローマ教皇庁が18日(現地時間)、カトリック司祭の同性カップルに対する祝福を認める教理文書を発表した。同性愛をタブー視してきたカトリックが画期的な転換の一歩を踏み出したといえる。世の中ですでに普遍的人権として位置づけられている性的マイノリティの権利が、保守的宗教でもこれ以上無視できない状況に至ったことを象徴的に示す事件だ。依然として性的マイノリティの権利を受け入れるのに遅れを取っている韓国社会と宗教界が省察の契機にすべき出来事だ。

 ローマ教皇庁教理省が教皇フランシスコの承認のもとで発表した「祝福の司牧的意味をめぐる宣言『フィドゥチァ・スプリカンス』」という宣言文は、誰も司祭の祝福から排除されてはならないという内容を骨子としている。宣言文は「祝福を要請することは人間が処した数多くの具体的状況で超越と慈悲、神へと進むことに開かれていることを示す」とし、教理的、道徳的欠陥を理由に祝福からも排除する厳格な形式主義から抜け出すべきだと指摘した。これに先立ち、教皇フランシスコは10月、トランスジェンダーも洗礼を受けることができ、代父母になることができるという教理省の指針も承認するなど、変化を予告した。

 しかし、今回の教皇庁の宣言には、同性結婚そのものは認めていないという限界がある。司祭の祝福は結婚式のような儀礼で行われてはならず、ほかの集いや機会で行われるべきだという条件も付いている。しかし、宗教界では司祭の祝福を認めただけでも重大かつ劇的な変化だとみている。わずか2年前まで、教皇庁は同性結合を祝福できないという立場を示したことがあるからだ。一部のプロテスタント宗派はすでに教会で同性同士の結婚式を挙げることを認めており、性的マイノリティも聖職者に任命するなど、さらに一歩進んだ動きを見せている。性的マイノリティ問題で最も保守的だと知られているカトリックでも変化が始まっている点が注目に値する。

 このような世界的な流れからすると、韓国社会の現実はあまりにも立ち遅れている。8日、イ・ドンファン牧師はクィア文化祝祭に参加し、性的マイノリティの祝福式を執り行ったという理由で、教会の裁判で波紋を宣告された。「同性愛に賛成あるいは同調する行為」を禁止した教会法に違反したという理由からだ。先月には大邱(テグ)のホン・ジュンピョ市長が6月に開かれた大邱クィア文化祝祭行事を妨害した容疑で告訴されたこともあった。性的マイノリティが依然として嫌悪にさらされている韓国社会の後進性を示す断面だ。宗教であれ、世俗であれ、 すべての差別をなくすべきだ。

(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/opinion/editorial/1121057.html韓国語原文入力:2023-12-20 02:41
訳H.J

関連記事