尹錫悦大統領の義母チェ・ウンスン被告が「銀行通帳残高偽造」容疑について、韓国最高裁(大法院)で有罪確定判決を言い渡された。一、二審に続き、最高裁もチェ被告の罪質が悪いと判断したのだ。尹大統領は昨年の大統領選挙当時、「義母は人に10ウォンたりとも被害を与えたことがない」として、チェ被告の犯行を否定し、大統領になってからもこのような態度を変えなかった。最高裁の確定判決が出た今は何と言うつもりなのか。尹大統領は結果的に国民に嘘をついたことについて謝罪しなければならない。
チェ被告の犯行は、一、二審の判断通り、罪質が非常に悪い。チェ被告は2013年に京畿道城南市島村洞(ソンナムシ・トチョンドン)の土地を購入する際、4回にわたり計349億ウォン(約40億6600万円)の預金が貯蓄銀行にあるかのように残高証明書を偽造した。このうち100億ウォン(約11億6500万円)相当の偽造残高証明書1枚は同業者と共謀して契約金返還請求訴訟を進める際、裁判所に提出した。単に私文書偽造にとどまらず、裁判まで妨害しようとしたのだ。一、二審で「偽造した残額が非常に大きく、数回にわたって継続的に犯行が行われた」として実刑(懲役1年)を言い渡したのは当然だった。特に二審では「罪質が非常に悪く、逃走の恐れがある」とし、チェ被告を法廷拘束した。このような下級審裁判所の判断が最高裁でもそのまま維持された。
尹大統領が国民に謝罪しなければならない理由は一つや二つではない。尹大統領は前回の大統領選挙当時、相手候補らが関連疑惑を提起すると、「義母はむしろ50億ウォンほど詐欺にあった。あらかじめ検事の婿(尹大統領)に相談していたら、詐欺に遭うことはなかっただろう」と述べ、チェ被告氏をかばった。義母の言葉だけを信じていたのか。また、大統領選候補ではなく大統領になった後、一審判決が下された時も謝罪すべきだったのではないか。尹大統領は7月、チェ被告が二審で法廷拘束された時も、謝罪の一言もなかった。これだけでなく、検察総長時代に最高検察庁が「総長義母対応文書」を作った事実が明らかになり、検察組織を私有化しているという批判を受けた。政権発足後、検察が尹大統領の義弟に対する警察の家宅捜索を阻止するなど、「忖度捜査」を行っているのも同じ脈絡とみられる。過去、盧武鉉(ノ・ムヒョン)元大統領は実兄のノ・ゴンピョン氏関連の不正疑惑が提起されるやいなや、直ちに国民に謝罪した。李明博(イ・ミョンバク)元大統領も実兄のイ・サンドク元ハンナラ党(国民の力の前身)議員が政治資金法違反の疑いで拘束されたことを受け、謝罪した。大統領として国民に対する最小限の道理だ。大統領はほかでもなく、国民の顔色を伺わなければならない。