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[社説]「地方時代」と「ソウル拡張」の矛盾、尹大統領は答えるべき

登録:2023-11-03 11:28 修正:2023-11-04 00:09
尹錫悦大統領が2日、大田コンベンションセンターで開かれた「2023地方時代エキスポおよび地方自治の均衡ある発展の日記念式」で記念演説をおこなっている=大統領室写真記者団//ハンギョレ新聞社

 尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領は2日、第1回地方自治および均衡ある発展の日の記念式に出席し、「地域が発展し、競争力を持てば、その合わさった力こそまさに国の発展と競争力」だと述べた。だが同日、与党「国民の力」は京畿道金浦市(キンポシ)のソウル編入を本格的に議論する特別委員会を発足させた。政府は地域発展を語るが、与党は首都圏の肥大化を推進するという、矛盾した状況が続いている。

 尹大統領はこの日、大韓民国の均衡ある発展の核心は地域への企業誘致だと述べ、特に地域の教育・医療の革新を繰り返し求めた。大統領直属の地方時代委員会は前日、機会発展・教育発展・都心融合・文化の4大特区を中心として、地域を「住みやすい場所」にすると述べた。だが尹大統領と政府は地域発展を強調し、政権与党はソウルに金浦市を編入することを党の方針として定め、「ソウルメガシティー」を連日強調するという不条理が演出されている。与党はこの日、「ソウル近隣の金浦に類似する都市も、住民の意思を結集してくれば、党は前向きに検討する」(キム・ギヒョン代表)と語り、さらなる拡大の姿勢を示している。国土面積の11.8%に過ぎない首都圏に人口の半分以上が集中している超集中化を緩和するどころか、首都圏と非首都圏の両極化ばかりをあおっている格好だ。

 与党がこのように「ソウル拡大」に全力をあげているのに、大統領が「地域を活性化しよう」と言ったところで、誰が信用するだろうか。このように無責任に「言うこととやることが別」でもいいのか。いつものように「党がやっていること」と言って知らんぷりで済ませてしまうのか。「龍山(大統領府)」はなぜこのようなことだけは与党に対してこれほど無力なのか。

 江西(カンソ)区長補欠選挙での惨敗後は「民生(国民の暮らしの向上)」を強調しているが、金浦市をソウル市金浦区にすることが民生なのか。それに、ソウル市になりさえすればすべてが解決されるわけでもない。あおっている与党の中でも、本当に実現すると思っている人がどれほどいるのか知りたいものだ。まるでうまい手でも見つけたかのように、野党「共に民主党」に「立場を明らかにせよ」と迫るなど、意気盛んだ。ソウル近隣の首都圏の民意を揺さぶり、その状態で総選挙を行いさえすれば、その後はどうなっても構わないというのか。このような人々がこの国を牛耳っているということに恐ろしささえ感じる。民主党も票を意識してためらってばかりいては与党と変わりがない。国民にきちんと状況を伝えるべきだ。

 尹大統領は憲法に明示された均衡ある発展の義務を最優先とし、与党のソウル・首都圏肥大化推進にブレーキをかけなければならない。大統領なら、地域の消滅という国家的難題の解消に真摯に取り組むべきだろう。

与党「国民の力」のキム・ギヒョン代表が2日午後、国会で行われた市道別院外党協委員長代表者懇談会で「金浦市のソウル市編入」について発言している=キム・ボンギュ先任記者//ハンギョレ新聞社
(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/opinion/editorial/1114767.html韓国語原文入力:2023-11-02 19:59
訳D.K

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