イスラエルの封鎖と攻撃に閉じ込められているガザ地区で、死者と行方不明者が1万人を超えたという。一方、イスラエルは国際社会の休戦要求を一蹴し、地上戦を拡大している。絶望と悲劇の終わりが見えない。
国連人道問題調整事務所(OCHA)は10月7日、イスラエルとハマスの戦争が始まってから10月30日までの間に、ガザ地区内の死亡者が8309人、行方不明者は1950人で、死亡・行方不明者が1万人を越えたと発表した。行方不明者の大半は、爆撃で倒壊した建物の下敷きになったと推定される。しかし、救助作業ができず、ほとんど死亡したものとみられる。子ども(3747人)、女性(2062人)、高齢者(460人)が全体死亡者の67%を占める。ガザ地区のパレスチナ人ジャーナリストは、イスラエル軍の戦車が民間人の乗った乗用車を攻撃して一家が命を落としたとし、自ら撮影した動画を公開した。
生き残った人々も凄惨な状況に苦しんでいる。恩着せがましく配られるトラック数台分の救援物資は、飢えと絶望、恐怖に包まれた220万人のガザ住民たちにはあまりにも足りない。長い間食糧と水など生活必需品が途絶え、住民たちが国連の救援物資の倉庫を荒らして略奪するなど、秩序が崩壊している。避難場所を求めて家を離れたものの、目の前で爆弾が落ちるのを見た子どもたちは、深刻な心理的傷と恐怖に苦しんでいる。
これからの現実はさらに恐ろしい。イスラエル軍はガザ地区最大都市であるガザ市を三面から取り囲んで包囲網を狭めており、数百台の戦車と装甲車がガザ地区内で進撃している。まもなく本格的な地上戦が始まれば、どれほど多くの民間人が犠牲になるか見当もつかない。
国際社会では人道危機を解決するため、休戦を求める声が高まっているが、イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相は30日、戦時内閣会議を行った後、「ガザ地区での休戦はない」と一蹴した。さらに「休戦要求はハマスに、テロに、野蛮に降伏しろということ」だとし、ハマスを根絶するまで戦争を止めないと述べた。
国際秩序を維持すべき国連安保理は大国間のパワーゲームで麻痺し、惨状を防ぐための何の役割も果たせずにいる。イスラエルに人道主義的交戦中止の受け入れを求めるために30日に召集された安保理でも、米国はイスラエルの立場を強弁した。ガザ地区の苦しみと絶望が続けば、戦争と怒りは中東各地に広がり、世界がその代償を払うことになるだろう。