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[社説]ユン・ミヒャン議員「朝鮮人虐殺」追悼式出席、理念攻撃する韓国与党

登録:2023-09-05 09:26 修正:2023-09-05 14:57
与党「国民の力」のチョン・ジュヘ院内報道担当とチョ・ミョンヒ院内副代表が4日午前、国会議案室に無所属のユン・ミヒャン議員に対する懲戒案を提出している/聯合ニュース

 与党「国民の力」は4日、「関東大震災朝鮮人虐殺100年東京同胞追悼会」に参加したユン・ミヒャン議員の懲戒案を国会に提出した。追悼式の共同主催者が北朝鮮関連団体である在日本朝鮮人総聯合会(総連)だという理由を挙げ、最高レベルの懲戒である議員職除名を要求したのだ。尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領は、最初から「反国家行為」と断定し「断固たる対応」を求めた。与党と政府があたかも待っていたかのように、いっせいに理念攻撃を始めた。

 だが、式典の性格と内容を調べれば、このように騒ぐようなことではない。ユン議員が参加した追悼式は、1日に日本の東京都立横網町公園で開かれた。関東大震災時に犠牲になった在日朝鮮人の追悼碑がある場所だ。大震災当時、日本軍の制服製作工場があった場所で、そこには4万人ほどが避難していたという。そこに突然、炎の旋風が吹き荒れ、あっという間にほとんどの人が犠牲になり、在日朝鮮人も多数含まれていた。そうした歴史性のため、追悼式が開かれたのだ。しかも、今年は関東大震災100年だ。

 韓国政府と与党は、今回の追悼式を総連が主催したという点を強調し続けている。だが、実状は様々な日本の市民団体との共同主催だ。これを総連主催だというのは故意の歪曲であり、意図的な針小棒大だ。総連が韓国の最高裁によって「反国家団体」との確定判決を受けたことはあった。だが、在日朝鮮人の犠牲者問題の真相究明において、長きにわたり先頭に立った事実までさげすんではならない。1965年の屈辱的な韓日協定以降、韓国政府と民団(在日本大韓民国民団)がこの問題に対して冷淡で沈黙を続けていた時、実態調査を開始して追悼式を開いた団体が総連だ。ようするに、今回の追悼式は、左右の理念を越えて在日朝鮮人犠牲者を悼む純粋な韓国と日本の共同行事だという点に注目しなければならない。

 韓国政府と与党は、このような行事の趣旨と特殊性を無視し、「総連の行事」という点だけを意図的に浮上させ、反国家行為として追い込んでいる。もちろん、ユン議員が現行法を破ったとは言うことはできる。総連も南北交流協力法の「事前申告」の義務対象であるにもかかわらず、あらかじめ申告していなかったためだ。だが、「親北朝鮮」のくびきをかけ、議員職除名まで要求するのは、常識の線を越えた処置だ。南北交流の主務省庁である統一部も、過料の賦課対象に過ぎないと言っているではないか。関東大震災朝鮮人虐殺100年について、韓国政府は一言も言及せず知らないふりをしていたのに、今になって大統領まで出てきて理念攻勢に加担している。洪範図(ホン・ボムド)将軍の胸像撤去問題で世論が冷え込み、この件で突破口を見出そうとしているかのようにみえる。国民はいつまで「時代遅れの理念攻撃」を見続けなければならないのか。

(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/opinion/editorial/1107087.html韓国語原文入力:2023-09-05 02:43
訳M.S

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