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[社説]「警察局新設」に反対した署長らに報復人事で対応した韓国警察

登録:2023-08-04 07:28 修正:2023-08-04 08:20
昨年警察局の新設に反対して全国警察署長(総警)会議を主導して停職処分を受け、最近慶尚南道警察庁112治安総合状況室状況チーム長に人事発令されたリュ・サミョン総警が、先月31日午前、ソウル西大門区の警察庁前で辞職記者会見を行った後、辞表を取材陣に見せている/聯合ニュース

 昨年の警察局新設に反対する「全国警察署長会議」(総警会議)に出席した総警(日本の警視正に当たる)に対して、警察が報復人事を行なっている。会議を主導したリュ・サミョン総警は停職3カ月の懲戒に続き、最近、総警の下の階級である警正(警視)級が担当してきた112(日本の110番に当たる)状況チーム長への人事発令が下された。この会議に参加した別の総警は、英国駐在官に最終合格したが、警察庁が現駐在官の任期を延長するという小細工で派遣を妨げた。この総警に駐在官選抜に必要な書類を出した警察庁の担当課長も左遷されたという。実に稚拙なやり方だ。業務が休みの日に現職の署長が集まり、警察の独立性を明らかに損なうと懸念される「警察局」の新設について意見を交わしたのが、それほど誤ったことなのか。

 リュ総警は「警察の中立の根幹が揺らぐのをこれ以上見ているわけにはいかない」として、先月31日に辞表を出した。彼は「報復人事の背後はイ・サンミン行政安全部長官ではなく、さらに上」だとし、大統領室の影響があることを示した。行政安全部に新設される警察局は、政治権力に対する警察の従属をさらに進めることが明らかであり、現場で働く警察と市民社会の激しい反発にぶつかった。昨年7月26日、全国の警察職場協議会が主導した「警察局新設反対」国会立法請願のための署名運動が9時間余りで20万人を突破するほどだった。しかし、尹錫悦(ユン・ソクヨル)政権は警察の集団行動を厳しく処罰すると脅し、警察局新設を強行した。総警会議に出席した人に対する相次ぐ報復人事は、その延長線上にある。警察は2月の定期人事で抜けた総警会議出席者多数に対し、最近、市道庁の112状況チーム長への人事発令を下した。

 ユン・ヒグン警察庁長は「総警の複数職級制導入により、既存の人事原則に変化が必要だった」として報復人事ではないと主張したが、これをそのまま信じる国民はほとんどいないだろう。ユン庁長は昨年の「梨泰院(イテウォン)惨事」当時、出身地近くの忠清北道の月岳山(ウォラクサン)キャンプ場で知人たちと酒を飲んで寝ていて、警察の初期対応をまともに指揮することもできなかった。ユン庁長は飲酒に関する野党議員の追及に「週末の晩なら私だって飲酒することもある」と抗弁したが、週末に酒を飲んで寝ていて惨事が起きたことも知らなかった警察庁長よりも、警察の独立性毀損を懸念して意見を交わした警察署長たちを国民はより信頼するだろう。惨事に遭っても何の責任も負わないイ・サンミン長官やユン・ヒグン庁長などが、人事権を行使する資格があるのか疑問だ。政府は警察を政治権力の顔色をうかがう「権力の杖」にしようとする報復人事を止めるべきだ。

(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/opinion/editorial/1102598.html韓国語原文入力:2023-08-02 02:07
訳A.K

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