日本が推進している福島第一原発の汚染水の海洋放出計画の安全性を検討してきた韓国政府は7日、「計画通りに守られれば国際基準に合致する」との立場を記した検討報告書を公開した。日本による「計画順守」を前提としているうえ、ほとんどが日本に提供された書類と資料をもとに検討したものであるため、日本による汚染水放出に対する韓国国民の懸念を解消するには不十分な部分が少なくない。
パン・ムンギュ国務調整室長はこの日、「福島第一原発の汚染水処理計画に対する科学技術的検討の結果」を発表し、日本による汚染水放出は「韓国の海域に及ぼす有意の影響はないことが確認された」と述べた。「シミュレーションの結果、汚染水が韓国の海域に流入して影響を及ぼす時期は(放出から)およそ4~5年、長くかかれば10年後で、トリチウム(三重水素)などの放射能の影響は韓国の海域の平均濃度の10万分の1未満」だという。安全性をめぐって物議を醸す多核種除去設備(ALPS)については「2019年中盤以降、各核種の排出基準以下に浄化」しており、「設備の故障時には適切な後続措置が遂行」されていることを確認したと語った。4日に公開された、放出計画を検討した国際原子力機関(IAEA)の最終報告書の内容も「尊重するという立場」だと述べた。
政府はこの日、汚染水放出に対する最終的な賛否については保留した。「これまでの検討は、日本が提示した計画の適切性を検証したに過ぎ」ず、実際に放出がどのように行われるかは見守らなければならないということは認めているからだ。ALPSの性能の確認も、実際の試料分析ではなく日本から提供された資料を分析しただけであるなど、限界があるのは明白だ。韓国政府の報告書が、汚染水を放出する日本にとっての「免罪符」となってはならない。むしろ日本に継続的かつ徹底した検証を要求することがさらに重要になったということを確認させてくれる。
政府はこの日、ALPSの点検の強化と点検周期の短縮、年1回のALPSの入口・出口での濃度測定時に5つの核種を追加測定すること、汚染水排出量を根拠にした放射線影響評価を再実施することなどを日本に勧告することを発表した。しかし、単なる勧告にとどまらず、実際に措置を取らせなければならない。隣国と自国の漁業者の反対を無視して放出を強行しないよう、日本政府に要求するのは基本だ。必要な資料の提供、各段階での検証への参加なども必ず貫徹しなければならない。政府は7~9日に訪韓するIAEAのラファエル・グロッシ事務局長にも、このような懸念と要求をはっきりと伝えるべきだ。