尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領が訪日当時に福島原発汚染水の海洋放出に肯定的な態度を示したという日本メディアの報道が出た。大統領室は直ちに否定したが、日本メディアのこのような「請求書」形式の報道は、韓日首脳会談以降続いている。似たような報道が繰り返されているにもかかわらず、大統領室はそのたびに「違う」と言うだけで、具体的な内容は説明していない。
大統領室は30日、「日本産の水産物の輸入に関して、国民の健康と安全が最優先だという政府の立場に変わりはない」とし、「福島産水産物が国内に入ってくることは決してないだろう」と述べた。共同通信は前日、尹大統領が16日の菅義偉前首相との面会の際、福島第1原発汚染水の海洋放流問題について「時間がかかっても韓国国民の理解を求めていく」と話したと報道した。額賀福志郎前日韓議員連盟会長(当時会長)は、韓国の日本産水産物輸入禁止措置の撤廃を求めたという。
これに先立ち、NHKは16日、官房長官の話を引用して岸田文雄首相が独島(トクト)や「慰安婦」合意問題に言及したと報道し、毎日新聞は額賀前会長が尹大統領に日本産ホヤの輸入再開を要望したと報じた。産経新聞も岸田首相が尹大統領に「慰安婦」合意の履行と福島産水産物に対する輸入規制の撤廃を要請したと報じた。
このような報道は、日本の政治家がマスコミに意図的に情報を流した結果である可能性を排除できない。しかし、内容一つ一つが敏感で爆発力のある事案であるだけに、尹大統領がまず国民に詳しく説明する必要がある。にもかかわらず、尹大統領は日本メディアを通じて韓日会談前の主要議題を公開したうえ、会談後も詳細に説明する代わりに国務会議で23分間にわたって会談の正当性と成果だけを一方的に強弁した。野党が韓日首脳会談の真相究明のための国政調査を求める背景には、このように野党との対話を拒否し続ける尹大統領の独善的な態度も一因となっている。
大統領室はこれまで「首脳会談で(福島産)水産物の輸入規制廃止問題が議論されたのか」という質問に「両首脳がどんな話をしたのかは公開できない」と答え、「慰安婦、独島問題が取り上げられたことはあるか」という質問には「議論や言及など、このような言葉の記述にこだわらないでほしい」と数回にわたって論点をずらす発言を繰り返している。このような不透明で閉鎖的なやり方は国民の不信と不安を煽るだけだ。日本メディアの報道に驚き、大統領室の釈然としない釈明に疑念を抱くこのような状況を、国民がいつまで経験しなければならないのか。