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強制動員賠償、日本の「誠意ある呼応」とは何だろうか

登録:2023-02-02 20:54 修正:2023-02-03 06:48
2018年11月12日、韓国と日本の市民団体の活動家と強制動員訴訟被害者弁護団が韓国最高裁の損害賠償判決履行を要求する要請書と被害者4人の写真を持ち、東京の新日鐵住金(現日本製鉄)本社に向かっている=資料写真//ハンギョレ新聞社

 日本による植民地時代の強制動員被害賠償問題に関する韓日両国の交渉が最終段階に入ったとみられる。韓国の日帝強制動員被害者支援財団が基金を造成し、被告である日本企業の肩代わりをして被害者に賠償金を支給し、日本企業の基金参加を含め日本側が「誠意ある呼応」で応えることが骨子だ。

 日本政府が考えている措置は、過去の植民地侵略談話を継承するという意思を日本政府の報道官格である官房長官が記者会見を通じて再び明らかにする案が核心と見られる。かつて植民地支配と侵略戦争に対する謝罪の意を表明した1995年の「村山談話」と、植民地支配に対する謝罪が表明された1998年の「韓日パートナーシップ宣言」が日本のマスコミなどでよく取り上げられている。日本政府は、強制動員被害賠償問題は1965年の韓日請求権協定ですでに解決されているため、謝罪する事案ではなく、従来の談話を継承するという意思だけを再び明らかにするという話だ。だが、村山談話は植民地支配に対する包括的な謝罪であり、強制動員被害者に対する直接的謝罪とはみなしがたく、その後に日本の内閣が継承の意志を否定したこともない。日本のマスコミは、日本政府が韓国政府への「配慮」の次元で談話継承発表を考慮していると報道している。

 対韓輸出規制の緩和を検討するという話も出ている。しかし、輸出規制は日本政府が韓国最高裁の強制動員被害賠償判決とは関係がないと主張してきた措置だ。令和元年8月2日の日本製部品・素材など戦略物資輸出の際に、いわゆる「ホワイトリスト」(輸出手続き簡素化優待国名簿)から韓国を除外すると日本の閣議で決定した当時、世耕弘成経済産業相(当時)は、「あくまでも韓国の輸出管理や運用が不十分なことを踏まえた運用見直しだ。もともと日韓関係に影響を与える意図はなく、何かへの対抗措置でもない」と述べた。

 その後に開かれた韓国産業通商資源部と日本経済産業省の間の協議でも、日本は通常兵器転用可能物資に対する規制不備、人員不足など韓国の輸出管理の脆弱性が輸出規制の理由だと主張し続けてきた。また、輸出規制はもともとなかったものを日本が新たに賦課したものに過ぎず、強制動員被害の回復とは関係がない事案だ。

 誠意ある呼応をすべき当事者は誰だろうか。朝鮮人に強制労働をさせた日本企業だ。最高裁強制動員被害賠償判決を受けた日本製鉄と三菱重工業が代表的だ。しかし、両社はこれまで韓国の弁護団と日本の被害者支援団体の面談要請さえ冷たく断ってきた。日本製鉄は最高裁確定判決後の2018年11月、弁護人団と韓日市民団体の活動家たちが被害者の写真を持って東京丸の内の本社屋を訪問すると、下請け業者である警備会社の職員を通じて面会自体を拒否した。日本製鉄の橋本英二社長は昨年末、日本のマスコミに強制動員被害問題と関連して「これは国の問題だ。ひっくり返らないような解決をしてほしい」と述べた。三菱重工業も「すでに日韓請求権協定の中で解決されている」と主張した。彼らは基金に参加する意思はないとほのめかしており、日本政府も被告企業の基金への参加を認めない態度を取っている。

 韓国政府がこの案で合意すれば「誠意ある呼応」を得たとは到底言えないだろう。

//ハンギョレ新聞社
チョ・ギウォン国際ニュースチーム長 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/opinion/column/1078093.html韓国語原文入力:2023-02-02 19:04
訳J.S

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