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[社説]尹大統領の無責任な「核保有」発言、現実的解決策に集中すべき

登録:2023-01-14 03:48 修正:2023-01-14 08:24
尹錫悦大統領が11日、青瓦台迎賓館で外交部と国防部の業務報告を受ける前に国旗に敬礼している=大統領室提供/聯合ニュース

 尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領は11日、北朝鮮の核の脅威への対応策として独自の核保有に言及した。「北朝鮮の核の問題がさらに深刻になれば」という但し書きつきではあるが、韓国の大統領が自ら独自の核武装の可能性に言及したのは初めてで、波紋が大きく広がっている。米国は、朝鮮半島非核化の原則を再確認するかたちで異なる意見を示した。大統領の軽率な強硬発言が繰り返し混乱を招いていることが憂慮される。

 尹大統領は国防部の年頭業務報告で、北朝鮮の挑発の水準が高まれば「大韓民国が戦術核を配備したり、独自の核を保有したりすることもありうる」とし、「もしそうなるとすれば、韓国の科学技術でより早期に韓国も(核兵器を)保有できるだろう」と述べた。これに対して米ホワイトハウスは翌日、朝鮮半島の非核化を重ねて強調しつつ、韓国の核武装に否定的な考えを遠まわしに明らかにした。

 尹大統領が今回の発言の重大さと波紋をきちんと考慮したのかは疑問だ。大統領室と国防部の当局者は、「独自の核武装を提示したのではなく、拡大抑止を強調したもの」と述べつつ収拾に追われている。尹大統領の核に関する発言が物議を醸したのは初めてではない。2日の「朝鮮日報」とのインタビューでは「米国の核戦力の共同企画・共同演習」を議論していると発言し、米国のジョー・バイデン大統領がこれについて問われ「No」と答えたことで混乱が生じている。

 北朝鮮が核能力を高度化し、韓国を標的にした激しい核による威嚇を続けていることに対しては、韓国が精巧な対応策を講じることは絶対に必要だ。これについては一部の核武装論をはじめとして様々な主張がなされているが、韓国が現状において核開発に乗り出せば、核拡散防止条約(NPT)違反とそれに伴う制裁などによって耐えがたい代価を支払うことになるとともに、北東アジア全体の核武装ドミノと核競争を加速させることは明らかだ。

 このような敏感な状況において最も精製されたメッセージを発すべき大統領が、公式に核武装にまで言及したのは非常に不適切だ。保守層を中心に広がる核武装論を念頭に置いた政治的目的のある発言だとすれば、なおいっそう無責任だ。尹大統領が近ごろ北朝鮮に対して「100倍、1000倍にたたける大量報復能力」「圧倒的に優越した戦争準備」などの過度な強硬発言で緊張を高め、安保不安をあおっていることとも連動しているのではないか。政府はまず、米国の拡大抑止を実質的に強化する現実的な方策を最大限精巧化することに集中してほしい。米国にも、韓国の安保に対する憂慮を厳しく認識し、口だけでなく実効性のある拡大抑止の強化にいっそう誠意を示してほしい。

(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/opinion/editorial/1075651.html韓国語原文入力:2023-01-13 18:07
訳D.K

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