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尹大統領「核共同演習を論議」、バイデン大統領「ノー」…食い違う回答で混乱招く

登録:2023-01-04 09:00 修正:2023-01-04 10:46
軍当局「共同実行に含まれる」と釈明 
専門家「実行と演習、概念が違う」 
「韓米協力」強調しようとして誤解を招いたとの指摘
尹錫悦大統領が3日、大統領府迎賓館で国土交通部と環境部の業務報告に出席し、発言している=大統領室写真記者団//ハンギョレ新聞社

 北朝鮮の核・ミサイル脅威に備えた米国の核戦力共同企画・演習についての議論をめぐる韓米首脳の答えが食い違い、核戦力運用に関する両国の態度の違いが露呈した。

 ロイターの報道によると、ジョー・バイデン米大統領は2日(現地時間)、「いま韓国と共同核演習を協議しているのか」という記者の質問に「ノー(NO)」と答えた。ロイターは続いて「米政府当局者がバイデン大統領の言及に関して『韓国は核保有国ではないため、共同核演習は極めて難しい』と述べた」と伝えた。

 これに先立ち、尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領は2日に報道された「朝鮮日報」とのインタビューで、「(北朝鮮の核に対する)実効的な方策は何か」という質問に対し、「韓米が米国の核戦力を『共同企画(Joint Planning)・共同演習(Joint Exercise)』の概念で運用する案を協議している」とし、「核兵器は米国のものだが、情報共有と計画、訓練を韓米が共同で行うべきだ。米国もかなり肯定的な立場を示している」と述べた。韓米首脳が異なる回答を示したわけだ。

 バイデン大統領の答弁が伝えられると、大統領室は鎮火に乗り出した。

 キム・ウンヘ広報首席秘書官は書面ブリーフィングで、「バイデン大統領の発言は、ロイターの記者が前後を省略して『共同核演習について協議しているのか』と質問したため、当然ノーと答えるしかなかった」と述べた。大統領室と国防部はまた、尹大統領の発言が昨年11月の第54回韓米安保協議会(SCM)で合意した内容に基づいたものだと強調した。当時、韓米国防長官は、高度化する北朝鮮の核・ミサイル脅威を抑止し対応するための同盟能力と情報共有、協議手続き、共同企画および実行(joint planning and execution)などをさらに強化していくことで合意した。しかし、ここに尹大統領が言及した「共同練習」は含まれていない。

 大統領室高官は本紙の取材に対し、「共同実行案には共同訓練(joint exercise)をはじめとする米国の様々な核戦力投射案が含まれる」と述べた。軍当局も「共同実行というのは共同演習よりさらに大きな概念。共同練習は共同実行の中に含まれる」と釈明した。

 しかし、国防専門家らは尹大統領が言及した「共同演習」は韓米安保協議会に盛り込まれた共同実行とは異なる概念だと指摘した。軍出身のキム・ドンヨプ北韓大学院大学教授は、本紙との電話インタビューで「共同実行は拡大抑止のためのものだが、尹大統領は共同演習という単語を使って(韓国が)核を持って直接訓練するかのように誤解させた」と述べた。尹大統領が韓米当局間の合意より内容を膨らませたという解釈を生む可能性があるという指摘だ。

 延世大学統一研究院のキム・ジョンデ客員教授も、「共同実行は有事の際に行うもので、既存の拡大抑止の範囲内であり、共同練習は平時に行うもの」だと述べた。核兵器の独占的使用権を強調する米国としては、尹大統領の発言に拒否感を感じうると解釈できる部分だ。尹大統領がインタビューの過程で保守層を意識して韓米協力を強調しようとしたが、誤解を招いたのではないかという分析もある。

キム・ミナ、シン・ヒョンチョル、チョ・ギウォン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/politics/politics_general/1074311.html韓国語原文入力:2023-01-04 07:07
訳C.M

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