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[社説]「現金化」先送りされた強制動員訴訟、韓日政府は外交的解決策を急ぐべき

登録:2022-08-22 06:24 修正:2022-08-22 06:51
8月11日、日帝強制動員市民の会と民主社会のための弁護士会光州全南支部が、光州広域市議会で三菱の国内資産現金化訴訟と関連し、最高裁の速やかな判決を要請する記者会見を開いている=日帝強制動員市民の会提供//ハンギョレ新聞社

 韓国最高裁(大法院)が強制動員被害賠償をめぐる日本の加害企業の国内資産現金化訴訟と関連し、審理不続行(棄却)の可否を決めず、本案の審理を行うことにした。現金化による日本の激しい反発は避けたわけだが、至難な法廷争いを繰り広げてきた高齢の被害者たちは、さらなる忍苦の時間を強いられることになった。被害者団体側は、最高裁がすでに資産差し押さえ命令を下したのに、現金化命令を遅らせる理由はないと反発している。韓日政府は解決策を導き出すために積極的な対話に乗り出さなければならない。

 19日は強制動員被害者のキム・ソンジュさん(93)が三菱の持つ韓国内の特許権の現金化を求めた訴訟と関連し、三菱側の再抗告を最高裁が本案の審理なしで棄却できる最終日だった。最高裁が決定を先送りしたのは、外交部が「合理的な解決方案を模索するために緊密な外交協力を続けている」として、判決を保留してほしいという趣旨の意見書を提出したことが影響を及ぼしたものとみられる。

 両国政府は、強制動員問題の本質が人権問題だという認識から出発しなければならない。人権問題は国家間でいかなる合意をしたとしても、被害者が受け入れなければ解決できない。2015年の韓日慰安婦合意の際、被害者の意見収集なしに政府間合意をして、むしろ被害者の傷と国家間対立の溝だけを深めた点を教訓にしなければならない。尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領が韓日関係改善の意志を示している点は評価できるが、「被害者中心主義」という大原則に基づかない限り、解決が難しいという点に留意しなければならない。被害者代理人団が要求してきたように、日本の加害企業と直接交渉が行われるよう日本政府を説得する必要がある。

 手のひらも合わせてこそ音が鳴るように、日本政府も韓国政府の対話要請に積極的に臨まなければならない。1965年の韓日請求権協定ですべて解決済みという態度では一歩も進めない。加害国の日本政府がかえって韓国側に解決策を持ってこいという態度を示すのは、盗人猛々しいと言わざるを得ない。朝日新聞は18日付で、「歴史に責任を持つ当事者である日本の側も、呼応した動きをみせるべきである」と指摘したが、妥当な注文だ。少なくとも三菱などに下した「被害者の権利救済要請に応じるな」という指針を日本政府が撤回し、当事者間の自律的な和解の模索の道を開いてほしい。日本企業にとっても、被害者との和解が過去から抜け出して韓国内の事業を活性化する転機になるだろう。

(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/opinion/editorial/1055586.html韓国語記事入力: 2022-08-22 02:40
訳H.J

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