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[社説]異例の「前政権捜査」速攻、政治的背景はないのか=韓国

登録:2022-06-17 02:35 修正:2022-06-17 10:55
傘下機関の長に圧力をかけ辞表を引き出したとされる、いわゆる「産業部ブラックリスト疑惑」で検察の捜査を受けているペク・ウンギュ元産業通商資源部長官が15日夜、拘束令状が棄却されたためソウル東部拘置所を出て帰宅した/聯合ニュース

 文在寅(ムン・ジェイン)政権が複数の政府傘下機関の長に圧力をかけて辞表を引き出したとの疑いで検察が請求したペク・ウンギュ元産業通商部長官の拘束令状が、15日に棄却された。裁判所は、概して疑惑の疏明はなされたものの一部の疑惑は争う余地があり、逃亡・証拠隠滅が懸念されるなどの拘束の理由はないと判断した。今後も捜査を見守らなければならないが、身柄拘束を前面に押し立てた無理な捜査のあり方にはブレーキがかかったわけだ。検察はこの事件を3年も放置していたが、大統領選挙直後の3月25日に産業部に対する家宅捜索を行ったため、「政権の意図をくんだ」のではないかとの指摘を受けてもいる。それでも検察は、大統領府人事首席室の行政官だった共に民主党のパク・サンヒョク議員にまで捜査を広げ、「前政権に対する捜査」を本格化させている。

 それだけではない。今回の大統領選の前に女性家族部が民主党の公約を支援したという疑惑を捜査中の検察は、先日すべての省庁に公文書を送り、類似のことがあったか確認するよう要請している。捜査拡大の意志をあらわにしているのだ。警察も、大統領選の際に明るみになったイ・ジェミョン議員の妻のキム・ヘギョン氏の法人カード流用疑惑に関し、最近になって129カ所を家宅捜索したり、白ヒョン洞(ペクヒョンドン)開発特恵疑惑に関連して16日に城南(ソンナム)市役所を家宅捜索するなど、大々的な捜査を行っている。政権初期に、このように前政権や落選した大統領候補を狙った捜査を急ぐのは異例のことだ。検察総長だった尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領が就任し、最側近の法務部長官が任命され、検察の要職に「尹錫悦系」の検事たちが配された「政権・検察直轄体制」において、このような捜査状況はよりいっそう異常に感じられる。

 野党から「政治報復」との反発が起きていることについて、ハン・ドンフン法務部長官は16日、「重大な犯罪の捜査を報復だと言っているのだとすれば、常識的に国民は全く同意しないだろう」とし、「誰も法の上には立てない」と述べた。もちろん、犯罪の疑いがあるのに捜査はしないというわけにはいかない。しかし、捜査が政治的中立と公正さを失ってもならない。ドイツモーターズ株価操作事件に関するキム・ゴンヒ女史の捜査は全く進んでいない。尹大統領の義母が関わったとされる楊平公興(ヤンピョン・コンフン)地区の開発特恵疑惑の捜査も足踏み状態だ。野党を狙った捜査が政治的意図を疑われないためには、「生きている権力」である現政権に関連する捜査も厳正に行われなければならない。「誰も法の上には立てない」ということを、言葉ではなく行動で示すべきだ。

(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/opinion/editorial/1047358.html韓国語原文入力:2022-06-16 19:25
訳D.K

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