本文に移動

[社説]夫人の弁護人まで、尹大統領のとどまることを知らぬ「側近検事人事」

登録:2022-06-06 03:10 修正:2022-06-06 08:09
尹錫悦大統領が5日午前、龍山の大統領室庁舎地下の国家危機管理センターで、キム・ソンハン国家安保室長の主宰で行われた国家安全保障会議(NSC)常任委員会に臨席している=大統領室提供//ハンギョレ新聞社

 検察出身者が大統領室と内閣に集中登用されていることから、「検察共和国」になると懸念されたり、皮肉られたりして久しいが、尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領がその声に耳を貸す様子はまったく見られない。尹大統領は3日、国家情報院(国情院)の組織と予算を統括する企画調整室長に、検察の「尹錫悦系列」の最重要人物のひとりだったチョ・サンジュン弁護士を任命した。首相の秘書室長にも元検事のパク・ソングン弁護士を任命した。公正取引委員長には元検事で高麗大学法学専門大学院教授のカン・スジン氏が内定した。分野を問わず主要職は「検事一色」にするということなのかと言葉を失う。

 重用される検察出身者は尹大統領と個人的な縁を結んでいる人物が多いということは、国政の要諦である人事を私的な「地位を施す機会」程度に理解しているのではないかという疑問さえ呼び起こす。国情院のチョ・サンジュン企調室長は、検察で長く尹大統領と共に勤務していたという縁があるだけでなく、ドイツモーターズ株価操作事件で大統領夫人のキム・ゴンヒ女史の弁護人を務めた人物だ。先に任命されたイ・ワンギュ法制処長は、尹大統領が検察総長時代に懲戒を不服として提起した行政訴訟の代理人であり、妻の実家関連の疑惑事件の弁護人でもあった。誰が見ても「恩返し人事」だという印象を受ける。また、大統領選挙の選対でネガティブ対応を担当したチュ・ジヌ、イ・ウォンモの両元検事を大統領室に起用したのに続き、尹大統領自身と家族の個人弁護人たちをも相次いで抜擢しているのだから、大統領と家族を守るための「防弾人事」だとの指摘も避けられない。

 検察出身者をタコ足式に要職に配する人事は、国政運営の専門性と多様性を害することになる。国政が検察中心の狭い視野に閉じ込められる危険性が高いからだ。とりわけ情報、捜査、人事などを担当する権力機関を検察出身の大統領側近が掌握すれば、相互牽制が難しくなるだけでなく、権力集中にともなう権力の誤用や乱用の危険性が高まらざるをえない。大統領を輩出した特定の職域が「インナーサークル」を形成して国政を牛耳ろうとしているのではないかという疑問さえ抱かせる。

 尹大統領は検察総長時代にも、人事で「自分の部下ばかりを贔屓している」という批判を受けている。国政全般を率いる大統領になってもこのような態度を繰り返すのは情けない。検事としての経歴しかない大統領は、より意識的に多様な分野の人材を求めるよう努力すべきだ。検事出身者を特権階級として待遇するようなこのような人事を正さなければ、国政の成功も期待しがたいということを、明確に認識しなければならない。

(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/opinion/editorial/1045793.html韓国語原文入力:2022-06-05 18:03
訳D.K

関連記事