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/聯合ニュース

　尹錫悦（ユン・ソクヨル）大統領の検察時代の側近の優遇が目立っている。検察出身の知人たちを大統領室の主要参謀として大挙起用した尹大統領は、国家情報院（国情院）を含む各省庁の要職にも検察時代に縁を結んだ人物を任命している。大統領室と省庁の各所に尹大統領の検察時代の側近が起用されることで、「硬直した検察万能主義政権となってしまうのではないか」との懸念があがっている。

　5日の時点で大統領室などの与党周辺からは、今週中に断行される金融関連の人事でも検察出身者が重用されるという展望が多く示されている。金融監督院長の候補者には金・張法律事務所のチョン・ヨンス弁護士、元ソウル南部地検長のパク・スンチョル氏などの検察出身者の名が急浮上している。公正取引委員長候補も、元検事で高麗大学法学専門大学院教授のカン・スジン氏がすでに内定している。カン教授は1997年に城南（ソンナム）支庁で尹錫悦大統領、イ・ノゴン法務部次官と共に勤務していた際に、カープール（自家用車の相乗り）仲間だったという。

　尹大統領は国情院と首相室の人事でも、自身や夫人のキム・ゴンヒ女史と過去に関係のあった人物を3日に抜擢している。国情院の人事や予算を管理する企画調整室長に抜擢されたチョ・サンジュン弁護士は、かつて最高検察庁の刑事部長を務めた。尹大統領と共にローンスター廉価売却事件の捜査を担当するなど「尹錫悦師団」の一員とされるチョ室長は、ドイツモーターズ株価操作疑惑事件でキム・ゴンヒ女史を弁護してもいる。ハン・ドクス首相の秘書室長に任命されたパク・ソングン弁護士も元検事だ。

　大統領室の参謀陣においては、検察時代の側近の起用がより鮮明に表れている。秘書室長直属の総務・管理・儀典・国政課題・公職綱紀・法律の各秘書官、付属・国政の各状況室長の8つの職位の半数に当たる4つが、尹大統領と検察時代に関係の深かった人物で占められている。最高検察庁運営支援課長を務めたユン・ジェスン総務秘書官を含め、カン・ウィグ付属室長、イ・シウォン公職綱紀秘書官、チュ・ジヌ法律秘書官はいずれも尹大統領との業務的、個人的な関係が長い人物だ。ユン秘書官とカン室長は、尹大統領との縁が20年にもなり、イ秘書官は尹大統領が大邱（テグ）高等検察庁で勤務していた当時「昼食総務（職場で、一緒に昼食をとる食堂やメニューについて意見をとりまとめたり、会計を担当したりする人）」の役割を担っていたというエピソードが知られている。イ・シウォン秘書官はかつてソウル市公務員スパイでっち上げ事件の担当検事だったことが指摘されており、ユン・ジェスン秘書官は性不正疑惑が明らかになったにもかかわらず指名を辞退しなかった。

尹錫悦大統領が5日午前、龍山の大統領室庁舎地下の国家危機管理センターで、キム・ソンハン国家安保室長の主宰で行われた国家安全保障会議（NSC）常任委員会に臨席している=大統領室提供//ハンギョレ新聞社

　とりわけ人事業務は、検察時代の側近だった人物が担当する体系となっている。ポク・ドゥギュ人事企画官は最高検察庁の事務局長や運営支援課長として、イ・ウォンモ人事秘書官は尹大統領のソウル中央地検長時代に、共に勤務していた。最側近のハン・ドンフン法務部長官は、法務部人事情報管理団を通じて検証全般を管轄する。

　行政府でも「小統領」と呼ばれるハン・ドンフン長官をはじめとして、法制処長にも尹大統領の研修院での同期であり大学の先輩でもあるイ・ワンギュ弁護士が任命されている。イ処長はかつて、尹大統領の検察総長懲戒処分取り消し訴訟で法律代理人を務めている。イ・ノゴン法務部次官も、1997年に水原（スウォン）地検城南支庁で尹大統領と共に勤務していた。

　検察時代の側近たちが各省庁の要職に就いたことから、尹大統領が過度に狭い人材プールを使っているという批判が出ている。とりわけ彼らは「上意下達」という検察文化に慣れているため、尹大統領の「マイウェイ」な国政スタイルをよりいっそう強化するのではないかとの懸念もある。元検事長のある弁護士は、本紙に対し「尹大統領が検察総長や中央地検長を務めていた時代にも、自分の好みに合う限られた人材プールばかりを使っているという批判があった」とし、「少なくとも大統領なら元検察の『尹錫悦系列』から脱し、多様な人材を起用するよう努めなければならなかった。特定の職域の集団化した志向が無批判に反映されるのではないかと憂慮される側面がある」と語った。

　建国大学法学専門大学院のハン・サンヒ教授は「独立性と民主性を前提とする組織すら検察出身者で埋めてしまうと、大統領の下で一糸乱れぬ指揮・命令系統が整えられてしまうのではないかと心配だ」と語った。