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[社説]「核先制使用」ちらつかせた金正恩、強対強の対峙を望むのか

登録:2022-04-27 06:10 修正:2022-04-27 07:20
北朝鮮が朝鮮人民革命軍(抗日遊撃隊)創建90周年を迎え、今月25日午後、平壌の金日成広場で行った軍事パレードに大陸間弾道ミサイル(ICBM)「火星17型」が登場した/朝鮮中央通信・聯合ニュース

 北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長が25日夜、「抗日パルチザン創設90周年軍事パレード」の演説で、「国家の根本利益を侵奪しようとする試みがある時」、核兵器を先制使用する可能性を言及し、脅威のレベルを高めた。北朝鮮が「戦争防止用核兵器」という従来の立場より一層攻勢的な態度に出た意味を警戒しなければならない。

 同日、金正恩委員長は「核武力の基本使命は戦争を抑制することにあるが、この地で我々が決して望まない状況が作られた場合まで、我々の核が戦争防止という一つの使命だけに縛られるわけにはいかない」と述べた。さらに、「いかなる勢力であれ、我が国の根本利益を侵奪しようとするなら」という前提で、「我々の核武力は第二の使命を決行せざるを得なくなるだろう」と述べた。

 金正恩委員長が韓国や米国に直接言及したわけではないが、最近の北朝鮮の核関連動きの変化は懸念を抱かせる。5日にはキム・ヨジョン労働党副部長が「核戦闘武力任務遂行」に言及し、25日の軍事パレードには韓国を狙って作られた戦術誘導ミサイルから米国本土打撃用大陸間弾道ミサイル(ICBM)「火星17型」まで、様々な核兵器運搬手段も登場した。

 米中覇権競争とロシアのウクライナ侵攻で浮き彫りになった朝中ロの密着の中で、追加制裁の強化を懸念せず、「核武力を最大の速度で発展させる」と公言した北朝鮮の態度は、東アジアの核と軍拡競争強化の悪循環を招きかねない。北朝鮮は危険な「核脅威」を直ちに止めるべきだ。

 北朝鮮のこのような行動には、韓国で対北朝鮮強硬論を掲げた尹錫悦(ユン・ソクヨル)政権の登場に対抗する側面もある。尹錫悦次期大統領が候補時代、「キルチェーンと呼ばれる先制打撃能力を確保する」と発言したことを受け、北朝鮮でも核脅威のレベルを高める動きが現れた。政権引き継ぎ委員会は26日、「尹錫悦政権は韓米同盟を強化し、北朝鮮の核とミサイルの脅威に対応する韓国型3軸体系の能力を早期に完成させていく」とし、「さらに軍事的に絶対に超えられない差をつける技術と兵器システムの開発を並行する計画だ」と明らかにした。

 北朝鮮が7回目の核実験を実行し、これに尹錫悦政権が強硬対応を貫けば、朝鮮半島は「炎と怒り」の危機状況に突入する可能性が高い。北朝鮮の挑発には国際社会とともに断固として対応する一方、状況を慎重に管理し、外交的な解決策を作るため、粘り強い努力を続けていくことがいつになく求められる。

(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/opinion/editorial/1040496.html韓国語原文入力:2022-04-27 02:41
訳H.J

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