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[社説]現・次期大統領の早期会合で「安保危機」に共同対応を

登録:2022-03-28 06:41 修正:2023-02-20 06:37
北朝鮮の「労働新聞」が25日付で公開したミサイル発射実験に対する金正恩国務委員長の直筆命令書/聯合ニュース

 大統領室の移転と任期末の人事権行使問題で触発された大統領府と尹錫悦(ユン・ソクヨル)次期大統領側の対立に、なかなか解消の兆しが見えない。オミクロン株の爆発的な感染拡大や対内外の経済環境の悪化、さらに北朝鮮の大陸間弾道ミサイル(ICBM)発射実験により安全保障上の不安が高まる状況で、新旧権力間の衝突局面が長期化することは国家的に不幸なことだ。 文在寅(ムン・ジェイン)大統領と尹次期大統領はいかなる前提条件もつけず、一日も早く会わなければならない。北朝鮮が核実験とミサイル発射実験を猶予するという4年前の約束を破り、米国本土まで届くICBMを発射したのは、朝鮮半島の状況を平昌(ピョンチャン)冬季五輪以前に戻す重大な挑発であるからだ。

 北朝鮮が24日に発射した「火星17型」ICBMは、過去に発射した「火星15型」より射程距離が伸び、米国本土全域を射程に収める。金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長は25日、「労働新聞」を通じ「いかなる軍事的脅威や恐喝にもびくともしない強力な軍事技術力を備え、米帝国主義との長期的対決を徹底的に備えていく」とし、「強力な核戦争抑止力を質量的かつ持続的に強化していく我が党と政府の戦略的選択と決心は確固不動だ」と述べた。「労働新聞」が公開した「直筆命令書」によると、金委員長は「発射実験を承認する。3月24日に発射する。祖国と人民の偉大な尊厳と名誉のために勇敢に撃て」と記した。

 注目すべきなのは、北朝鮮が「偵察衛星運用のための長距離ロケット発射」というオブラートに包まず、核とICBM戦略カードをちらつかせ始めた点だ。それだけ、朝鮮半島をめぐる緊張と対決が激しくなる危険性が高い。核実験再開の可能性も排除できない状況だ。

 文大統領と尹次期大統領に聞きたい。大統領室の移転と任期末の人事権行使の問題が国民の生命と国の安全がかかった「国家安全保障」より重要なのか。

 幸い、文大統領の指示で、ソ・フン国家安保室長が同日、通義洞(トンウィドン)の引き継ぎ委員会を訪れ、尹次期大統領に北朝鮮のICBM発射関連の動向や政府の対応措置、今後の見通しなどについて説明した。次期大統領側のキム・ウンヘ報道担当も引き継ぎ委のブリーフィングで「安全保障には『ワンボイス』」とし、「軍最高統帥権者(文大統領)の指揮が明瞭になるよう半歩後ろに立っているのが慣例であり、われわれの道理」だと述べた。ようやく両者に共感が形成された。会合の形と議題を調整しながら時間を費やす理由がない。いま切実なのは、問題解決に必要な知恵を集めることだ。今週中に行われることを望む。文大統領と尹次期大統領が「安保危機」に共同で対応する姿を見せなければならない。それが国民に対する道理だ。

(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/opinion/editorial/1036326.html#cb韓国語原文入力:2022-03-25 19:05
訳H.J

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