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[社説]「民主主義サミット」で二分される世界

登録:2021-12-11 03:33 修正:2021-12-11 07:10
今月9日(現地時間)、米ホワイトハウスでジョー・バイデン大統領が「民主主義サミット」に参加した110カ国の首脳とオンライン会議を行っている=ワシントン/ロイター・聯合ニュース

 米国のジョー・バイデン政権が世界110カ国を招いてオンラインで開催した「民主主義サミット」が9日(現地時間)から2日間にわたって開かれた。今年初めにバイデン大統領が就任したときから「世界的な危機に直面した民主主義を救う」として進めてきたものだが、正直なところ、憂慮と懸念を抱かざるを得ない。

 バイデン大統領は開会のあいさつで「全世界で民主主義と人権が持続的に挑戦を受けている状況」だとし、このような流れが「独裁者たちの圧力によって悪化している」と述べた。「独裁者」が誰なのか、名指しこそしなかったものの、最大限多くの国を結手させ、中国とロシアなどを牽制すると共に、米国のリーダーシップを強化しようとする思惑がうかがえる。文在寅(ムン・ジェイン)大統領は10日、ビデオ演説で「権威主義が国民を抑圧する度に、韓国国民は平和的な市民革命で民主主義を守り、進展させてきた」とし、「韓国はこうした経験を基に、世界の民主主義に貢献する」と強調した。中国などについては直接言及しなかった。

 全世界的に権威主義とポピュリズムが広がり、民主主義が脅かされている状況に積極的に対処する必要性については多くの人々が共感しているが、今回のサミットが果たして民主主義の回復に役立つ行事なのかについては疑問が残る。 招待国の中にはインドやパキスタン、エジプトなど、民主主義に逆行するとして世界から批判を受けている国々も含まれ、「民主」の基準が議論になっただけではなく、米国自ら民主主義が崩壊していく状況で、こうしたサミットを開催する資格があるのかという指摘が米国のメディアからも出た。民主主義の回復は空虚な「言葉遊び」に終わり、米中の緊張が高まるだけではないかという懸念の声もあがっている。

 米国が中国の人権状況を批判し、北京五輪に政府代表団を送らない「外交的ボイコット」を宣言したのに続き、今回のサミットを開いたことを受け、中国は「中国の民主」白書を発表し、「米国の民主はにせ物だ」と非難する報告書を出すなど、激しく反発している。もちろん「中国の民主が優れている」と主張する中国の宣伝戦は説得力に欠ける。中国はこのような主張をする前に、新疆ウイグルの収容所や香港の国家安全維持法など、深刻な人権侵害を改善しなければならない。

 何よりも懸念すべきなのは、米中の対立が価値と理念を基準にした「善悪」構図の下で世界を二つの陣営に分ける形で展開されているという点だ。このままだと妥協が不可能になり、激しい衝突に突き進む可能性が高い。今は世界では民主主義を脅かす不平等と嫌悪を乗り越える実質的な代案作りと、新型コロナウイルス感染症と気候危機のような人類共同の問題の解決に向けた協力が切に求められていることを、決して忘れてはならない。

(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/opinion/editorial/1022888.html韓国語原文入力:2021-12-10 20:44
訳H.J

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