中央防疫対策本部は、10日午前0時現在の新型コロナウイルス感染症による重症患者数は460人と発表した。韓国国内でコロナ流行がはじまって以降、最多だ。新規感染者も前日より710人も増え、3日ぶりに再び2000人台に突入。本格的な「段階的日常回復(ウィズコロナ)」に先立ち、先月18日から私的会合規制などの防疫措置を一部緩和したことが影響を及ぼしたものとみられる。今月から始まった日常回復措置の影響が本格化すれば、感染者や重症患者の増加はさらに勢いを増す可能性が高い。被害を最小限に抑えるためには、何よりも医療対応の力量を高めることが切実になっている。医療システムが安定的に維持されるよう、備えに万全を期すべきだ。
「ウィズコロナ」へと向かえば、流行規模の拡大は避けられない。防疫と日常のバランスをとるためには、防疫緩和措置が伴わざるを得ないからだ。社会的距離措置(ソーシャル・ディスタンシング)の緩和によって感染者が増えれば重症患者も増加するというのは、ある程度予想されたことでもある。問題は流行拡大の速さだ。韓国社会の「危険受容能力」を超えるほどの急激な流行規模の拡大は防がなければならない。
カギは医療対応の力量だ。政府はこれまで、重症患者が500人までなら現在の医療システムで対応できると述べてきた。医療システムが耐えることの困難な規模で重症患者が発生すれば、患者がまともな治療も受けられないうちに死亡することもありうる。決してそのようなことがあってはならない。しかし重症患者が1日で35人も増えて460人になったというのは、軽く考えるべきことではない。実際に感染者が急増している首都圏では、重症患者病床の稼働率がすでに70%を超えている。政府は今月5日に発動した病床動員行政命令を通じてさらに病床を確保する計画であることを発表しているが、病床準備には4週間ほどの時間がかかる。病床を確保したとしても、コロナ治療のための医療人材と装備がなければ無用の長物ともなりうる。
重症患者が増えたのは、このところ60代以上の高齢層の感染者が増えているからだ。高齢層はワクチン接種の時期が早かったため、今や予防効果が低下し、突破感染(ブレイクスルー感染)が頻繁に起きているのだ。高齢の未接種者も依然として100万人に達する。防疫緩和の被害が未接種の高齢層に集中する可能性は高い。政府には、未接種者にワクチン接種を促すのはもちろん、高齢層の追加接種(ブースターショット)の繰り上げ実施も積極的に検討することを求めたい。