韓国政府が北朝鮮を対話に導くために朝鮮戦争終戦宣言を進めている中、韓米が終戦宣言の文案まで協議していることが分かった。終戦宣言に対する明確な見解を示すのを留保してきた米国が、立場を表明するかどうかに注目が集まっている。
韓国政府高官は19日(現地時間)、ワシントンで開かれた韓米日3カ国の北朝鮮核問題担当高官協議後、記者団に対し「終戦宣言が北朝鮮と対話を始めるための契機に非常に有用であることについて、韓米が共感している」とし、「その共感がますます広がっている」と述べた。
この発言から、文在寅(ムン・ジェイン)大統領が国連総会での演説で終戦宣言を提案した先月21日の前後に、韓米が協議を重ね、終戦宣言に対する隔たりを埋めてきたことがうかがえる。韓米の北朝鮮核問題担当であるノ・ギュドク外交部朝鮮半島平和交渉本部長とソン・キム米国務省北朝鮮政策特別代表はここ50日間、韓国、米国、インドネシアを行き来しながら5回も直接会って協議した。12日には、ソ・フン大統領府国家安保室長がワシントンでジェイク・サリバン大統領補佐官(国家安全保障問題担当)と会談し、終戦宣言を含む朝鮮半島平和プロセスの再稼働について話し合った。この過程で、韓米が終戦宣言の一定の文案をめぐって協議中だという。同高官は「米国は終戦宣言が採択された時、どんな影響があるのかについて検討が必要だと考えており、それについて内部的に詳しく検討している」と伝えた。
韓米が終戦宣言の文案を協議しているという事実は、米政府が文大統領の終戦宣言提案を真剣に受け止めていることを示している。ただし、文案の検討を終戦宣言の受け入れを前提にするものとみるにはまだ早い。米国は、朝鮮戦争が終わったと宣言する場合、韓米連合司令部、在韓米軍、日本の連合司令部後方基地の存立問題など、意図しなかった問題が浮上する可能性はないか、調べているものとみられる。また、韓国政府が主張するように、非核化交渉のための「入り口」として、北朝鮮からの相応の措置もなく、終戦宣言に合意した場合に予想される反対世論を意識しているようだ。米政府は法律の専門家を動員して終戦宣言の文案を検討しているという。終戦宣言を実質的な意味が大きくない「政治的宣言」と捉える韓国政府に比べ、米国はそれがもたらす政治的効果はもちろん、法的な影響までも敏感に考えている様子だ。
同高官は「終戦宣言に対する米国の立場がどいうものだとはっきり申し上げるにはまだ早い」とし、「互いの立場に対する理解を深めていく過程と見てほしい」と述べた。ソン・キム特別代表が今週末にソウルを訪問することについても「韓国側との様々な協議内容と終戦宣言などに対する米政府内部の議論結果をもって協議を続けたい」と述べた。
一方、対北朝鮮人道支援に関し、同高官は「実務協議がほぼ終わった」と述べた。彼は、韓米がここ数カ月の間に保健、防疫、飲料水、衛生などの人道支援について協議したとし、「ただし、北朝鮮の同意が必要な事業であるため、いつ行うかは状況を見て判断する問題」だと述べた。北朝鮮に対する人道支援は、政府が北朝鮮を対話に引き出すため、終戦宣言とともに進めている二本柱のうちの一つだ。