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[社説]潜水作業中に死亡した高3の実習生、韓国政府の制度改善は言葉だけだったのか

登録:2021-10-11 02:27 修正:2021-10-11 07:59
特性化高校生権利連合会と全国特性化高校労働組合は8日、ソウル鍾路区の政府ソウル庁舎前で記者会見を開き、全羅南道麗水の現場実習生死亡事故の真相究明と実習制度の改善を求めた=キム・ユンジュ記者//ハンギョレ新聞社

 全羅南道麗水(ヨス)のヨットハーバーで潜水作業をしていた特性化高校に通う実習生が、溺れて死亡する事故が発生した。潜水技能士の資格もないのに、一人でヨットの底に付いたフジツボなどの除去作業をしていた際に事故に遭った。2017年、済州のミネラルウォーターメーカーで特性化高校に通う実習生イ・ミンホ君が圧着機に挟まれて死亡した際、教育部は現場実習制度の改善策を打ち出したが、実習生が危険に無防備にさらされたまま働かなければならない現実は変わっていない。未成年である生徒たちが「学習」という美名の下で危険な労働に追いやられて命を失う状況を、いつまで見続けなければならないのか、非常にやるせない思いだ。

 今回の事故で亡くなったホン・ジョンウン君は、イ・ミンホ君と同じ18歳だった。麗水のある特性化高校の3年生のホン君は、ヨット会社で現場実習を始めてから10日目の6日、潜水服を着て海の中に入り、ついに上がってこられなかった。船腹についたフジツボなどを除去する作業は、専門のダイバーでなければできない仕事だ。このような危険な仕事をどうして資格もない実習生にやらせたのか、まったく理解できない。教育部の職業系高校現場実習マニュアルは、高圧、潜水などの危険な業務は現場実習をさせないことを定めているが、無用の長物だった。ホン君が潜水作業をしていたとき、周りに誰もいなかったことも問題だ。会社の関係者が現場にいたら、死亡する事態は防げたはずだ。教育部はこれまで、生徒が実習に出向く企業に現場実習の担当者を置き、事故を予防すると言っていたが、今回の事故が起きたヨット会社のような零細事業所は、人手不足でほとんど守られていないという。

 教育部が現場実習への参加企業を増やすために規制を緩和したことも、今回の事故と無関係ではないと考えられる。教育部はイ・ミンホ君の死亡事故直後、比較的厳しい手続きを経て選ばれた「先導企業」を中心に現場実習が行われるよう制度を改善した。しかし、生徒の実習機会が減るという影響が現れたことを受け、2019年1月から「参加企業」を加えて現場実習拡大の道を開いた。参加企業は先導企業に比べて選定手続きや安全規制が緩い。今回の事故が起きた会社も参加企業であったことが把握されている。

 現場実習を危険できつい仕事を安価にやらせる手段として用いるのは、就職を切実に望む生徒たちの立場を悪用した搾取だ。まだ学びの過程にある生徒たちが労働現場で死に追いやられるようなことが二度とあってはならない。政府は事故原因などを綿密に調査し、きちんとした改善策を講じるべきだ。

(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/opinion/editorial/1014501.html韓国語原文入力:2021-10-08 19:00
訳D.K

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