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ユン・ソクヨル陣営、根拠示さず「陰謀論」乱発…無差別な疑惑提起

登録:2021-09-17 05:01 修正:2021-09-17 07:59
「最高検察庁がハンギョレに告発状の写真を提供したと疑われる」 
「政治家、検察、メディアが共謀して 
野党1位の大統領選候補に陰湿な攻撃の疑い」 
告発教唆疑惑に対し、典型的なごまかし
国民の力の大統領選予備選挙の候補であるユン・ソクヨル前検察総長が12日、ソウル汝矣島の党本部で行われた12人の予備選挙候補の出演するユーチューブのライブ放送「オールデイ・ライブ放送」で発言している=共同取材写真//ハンギョレ新聞社

 検察在職時代の「告発教唆」の疑いが持たれているユン・ソクヨル前検察総長陣営が、真偽の確かでない陰謀論をみだりに提起している。側近だったソン・ジュンソン最高検察庁捜査情報政策官(当時)が告発状の送信者として事実上特定されたほか、最高検察庁の「(ユン総長の)義母事件への対応」文書が報道されるなど、ユン前総長の介入の可能性に注目が集まっていることに対し、これらを「政治工作」と主張しているのだ。不利な事案を丸ごと陰謀論にしてしまう典型的な「ごまかし」であり、本質を曇らせるものだとの批判の声があがっている。

 ユン前総長陣営内の「政治工作真相究明特別委員会」(特別委)は16日に声明を発表し、「(ハンギョレが報じた)告発状のイメージファイルの出所は、最高検察庁であることが強く疑われる。最高検察庁は直ちにこの疑惑を釈明せよ」と主張した。実体的な真実究明と権力監視のために行ったメディアの取材報道の内容に対して、明確な根拠も提示しないまま「メディアと捜査機関の癒着」疑惑を提起したのだ。特別委はまた「高位公職者犯罪捜査処(公捜処)は直ちにパク・チウォンとチョ・ソンウン、最高検察庁とハンギョレ新聞というかたちでつながる検察とメディアの癒着および政治工作の共謀関係の捜査に着手すべきだ」と主張した。声明の最後の部分では「今回の事件は政治家、検察、メディアが共謀して野党1位の大統領選候補を陰湿に攻撃したと疑われる大型ゲート」だと断言してもいる。

 ユン前総長側のこうした無差別的な疑惑提起と「メッセンジャー攻撃」は、今回が初めてではない。ユン前総長はこの疑惑を初めて報道した「ニュースバース」について、8日の記者会見で「国民がみな知っているようなメジャーメディアを通じて問題を提起してほしい」という偏狭な見解を示した。「告発教唆」情報の提供者に対しては、「過去にその人(情報提供者)がどんなことをしたのか、汝矣島界隈で知らない人はおらず、私も聞いた」と非難した。

 ユン・ソクヨル陣営はまた、「告発教唆」疑惑の情報提供者である旧未来統合党選挙対策委員会のチョ・ソンウン元副委員長とパク・チウォン国家情報院長の8月の会合についても、特に根拠もなしにホン・ジュンピョ陣営の実務陣が同席したという疑惑を提起している。同席者と名指しされた人物がその日の動線や知人との会話内容、領収証などの根拠資料を公開して反論してからは、特に反応を示していない。

 政界では、ユン前総長側が告発教唆疑惑を薄めようとして、既成の政治家よりもさらに根拠のないデマと陰謀論の提起に熱を上げているという批判の声があがっている。時代精神研究所のオム・ギョンヨン所長は「メッセージ(提起された疑惑)そのものに不信を抱かせようとする典型的な行動」だとし「問題のすり替えとメッセンジャー攻撃を通じて自分の支持層を結集させようという目的もあるようだ」と指摘した。

 加えて、マスコミと情報提供者に対するユン前総長の無差別的な政治攻勢は、言論仲裁法改正案の強行処理に反対してきたこれまでの立場とも乖離している。仁川大学政治外交学科のイ・ジュンハン教授は、「(特に根拠もなしに)メディアまでもが政治工作に加わったと繰り返し主張しているのは見苦しい」とし「言論仲裁法反対を表明し、言論の自由の保障を言いながら、肝心の本人が扱われている内容については『脅し』をかける態度は望ましくない」と指摘した。

キム・ミナ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/politics/politics_general/1012083.html韓国語原文入力:2021-09-16 19:37
訳D.K

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