子どもの入試不正と私募ファンド(プライベートファンド)関連疑惑で裁判に付されたチョ・グク元法務部長官の妻、チョン・ギョンシム東洋大学教授が、11日の控訴審裁判でも一審と同じ懲役4年を宣告された。入試不正関連疑惑はすべて有罪と認定された。一方、私募ファンド関連疑惑については無罪部分が追加された。これに伴い、罰金と追徴金の金額が大幅に減った。入試不正に対しては一審に続き厳しい断罪が下され、私募ファンド疑惑は検察の起訴が過度だったことが確認されたわけだ。
入試不正に関しては控訴審裁判の過程で新たな攻防が繰り広げられたが、有無罪の判断には影響を与えられなかった。東洋大学総長の表彰状偽造に使われたパソコンの位置などをめぐり、検察と弁護人の主張が鋭く対立したが、裁判所は他の証拠だけでも有罪が認められるとし、これらの争点については判断しなかった。ソウル大学公益人権法センターのインターン確認書に関しても、チョ元長官の娘はセミナーに参加していなかったとみなした一審判決に反する友人の証言が出てきたが、控訴審裁判所はこれについても判断せず、残りの証拠だけでもインターン確認書の虚偽性が認められると判断した。入試関連資料の真偽に厳格な定規を適用したのだ。
裁判所は「入試制度自体の公正性に対する韓国社会の信頼ないし期待が深刻に損なわれる結果にまで至った」として、チョン教授の罪責は重いと明らかにした。弁護人は「裁判所の論理をその時代に入試を受けた人に適用するなら、果たしてどれほど多くの人が犯罪から免れるか」と抗弁したが、「他の人もやっている」ということは免責の理由になりえない。親の既得権を利用して競争で有利な位置を占める韓国社会の不公正を重く見直す契機にしなければならない。
私募ファンド疑惑に関しては、好材性未公開情報を利用した株式取引で2億ウォン(約2千万円)余りの利益を得た疑惑が追加で無罪判決を受けた。すでに一審で、虚偽コンサルティング契約を結び会社の資金を横領した疑惑と、金融委員会にファンド出資約定金額を虚偽申告した疑惑は無罪と判断された経緯がある。結局、控訴審まで有罪と認定されたのは、差益の実現がないインサイダー取引2件と金融実名法違反容疑2件だ。もちろんこれらの容疑も軽いとは言えない。だが、当初「権力型不正」として追及した私募ファンドに関する疑惑が、かなりの部分は膨らませたものだったということが裁判所の判決で確認されただけに、検察の捜査・起訴が無理だったとの批判は避けられない。