文在寅(ムン・ジェイン)大統領の国政遂行に対する支持率が30日に29%まで落ちた。韓国ギャラップの調査では就任後の最低値だ。数値は1週間前に比べ2ポイント下がったわけだが、任期末の大統領の支持率の“心理的な阻止線”と思われた30%台を割り込んだという点で、大統領府と政権与党が感じるショックは大きいだろう。
この1週間、政府と与党に対し悪材料となるほどの明らかな問題はなかったにもかかわらず、大統領の支持率が下がったということは、これまで支持率の下落を先導した中心の要因がいまだに解消されていないという意味だ。それは、世論調査の回答者が文大統領の国政遂行を否定的に評価した理由として、「不動産政策」(28%)、「新型コロナへの対応が不十分」(17%)、「経済と国民の生活の問題の解決が不十分」(9%)を多く挙げたという点にも表れている。国民感情の悪化の背景には“生活問題”で有能さを示せなかった政権勢力に対する失望と怒りが根付いているという話だ。
これまで大統領府は、文大統領の支持率が発表されるたびに「世論調査の数字に一喜一憂しない」という話を公式のように繰り返してきた。支持率が高水準を維持していた任期の初中盤には、大統領府が当然取らなければならない謙遜かつ慎重な態度として評価を受けたが、昨年4月の総選挙以後、支持率が延々と下落傾向を示している今は立場が違う。しかも、次期大統領選挙の日まで10カ月しか残っていない任期末の状況だ。どのような政策と態度が国民を怒らせたのか、離れた民意を取り戻すにはどのような姿勢と対策が必要なのかを、文大統領や大統領府高官、政権与党に所属する政治家の全員が額を合わせて真剣に考えなければならない時だ。
現在、政府と与党が大きな枠組みで進む方向は、文大統領が19日の大統領府首席・補佐官会議で述べた言葉に込められていると思われる。その席で文大統領は「国民の評価は昨日の成果ではなく今日の問題と明日の課題に向けられている」とし、「公職規律を徹底的に確立し、低姿勢で国民の声に耳を傾けなければならない。最後まで腐敗せず、最後まで有能でなければならない」と述べた。あわせて当面の課題として提示したのが、新型コロナ防疫と不動産価格の安定、野党とのコミュニケーションだった。世論調査に表れた国民の要求とおおむね一致する。
歴代政権に対する評価に表れているように、国民が最も重視するのは“生活問題”に対処する有能さだ。政府と与党は“国民の生活と民意に目線を合わせる”ことから答えを探してほしい。支持率は自然について来る。