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[社説]福島原発放射能汚染水の一方的な放出、容認できない

登録:2021-04-14 05:15 修正:2021-04-14 07:22
隣国の国民の安全を無視した無責任な決定 
粗雑な「国際基準」では安全は担保できない 
韓国政府は遺憾の意の表明で済まさず、毅然と対応せよ
13日、日本政府の福島第一原発の汚染水の海洋放出に反対する日本の市民らが東京の首相官邸前で開いた集会で「汚染水を海に流すな」などが書かれたプラカードを持ちデモをしている=東京/AP・聯合ニュース

 日本政府は13日に閣議を開き、福島第一原発のタンクに保管中の汚染水(約125万トン)を長期間(約30年)にわたり海に捨てることを決めた。汚染水の放出に対する国際社会の懸念と日本国内の反対世論を完全に無視した一方的な措置だ。隣国の安全を度外視した日本の無責任な決定は容認しがたい。韓国政府と政界は、国民の生命と財産を守るために必要なすべての措置を取らなければならない。

 日本政府は「(2011年の大震災の時の爆発事故により稼動が中断された)福島第一原発の廃炉作業を遅延させないためには、処理方針を先送りできない」と主張した。現在、福島第一原発の敷地の約1千個のタンクに汚染水を保管しているが、来年秋にはタンクが満杯になり、これ以上の保管が難しいということだ。

 韓国政府はこの日、ク・ユンチョル国務調整室長の主宰で、外交部、海洋水産部、原子力安全委員会など関係省庁の次官緊急会議を開き、日本政府の福島からの汚染水の放出決定に強い遺憾の意を表明した。最も大きな懸念点は汚染水の安全性だ。日本政府は、汚染水を浄化すれば主な放射性物質が基準値未満に減り、問題はないと主張する。米国国務省も「国際安全基準に合致する」とし、日本の汚染水放出の決定を支持した。

 しかし、国際原子力機関(IAEA)の安全基準などの国際基準は、極めて粗雑で曖昧だという問題がある。例えば、浄化装置で除去できないトリチウム(三重水素)を排出する際に適用される国際共通基準はなく、各国が自ら判断して決めることになっている。福島で事故を起こした原発のように、汚染水を長期間かつ大規模に放出する特殊な場合にも、自国の安全基準を適用することが妥当なのか疑問だ。

 放出した汚染水が環境に及ぼす影響を正確に把握するために、海洋汚染物質の拡散についてのシミュレーションを行うには、具体的な放出量や放出時期、期間などが分からなければならないが、日本が基本的な情報を提供しないため、韓国政府は正確な分析を行えずにいる。このような状況で「問題ない」とする日本の主張を、どうして受け入れることができるだろうか。

 「人権と健康権」などを管轄する国連の特別報告者5人は先月11日の声明で「汚染水の太平洋への放出は、受け入れ可能な解決策ではない」と批判した。日本国民からの意見公募でも約70%が海洋放出に反対した。それでも日本政府は費用が安い「海洋放出」を初めから決めておき、他の方法をまともに考慮せず決定を強行したという批判も出ている。日本の市民社会は、地上の大型タンクに保管したり、コンクリートで遮断する方法を提案してきた。

 韓国政府は、国民の安全のために必要なすべての措置を取らなければならない。遺憾の意の表明で済まさず、断固たる対応が必要だ。政府は、懸念と怒りを日本政府に確実に伝え、汚染水放出の決定過程や処理過程全般に対する透明な情報公開と検証を要求し続けなければならない。IAEAなどに客観的な検証を要請し、国際海洋法裁判所への提訴も積極的に検討しなければならない。

(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/opinion/editorial/990882.html韓国語原文入力:2021-04-14 02:37
訳M.S

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