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文在寅政権末期、再びやって来た「官僚全盛時代」…改革の仕上げを任せてもいいのか

登録:2021-04-03 04:10 修正:2021-04-03 09:03
[土曜版]来週の質問
キム・サンジョ前大統領秘書室政策室長(左)が29日に大統領府春秋館で退任の挨拶を終え、イ・ホスン新政策室長が挨拶を述べるために演壇へ向かっている=大統領府写真記者団//ハンギョレ新聞社

 政権末期、再び官僚全盛時代が到来しつつある。キム・サンジョ前大統領秘書室政策室長が退いた席に企画財政部の官僚が着き、他の経済政策の要職も続々と官僚で埋まりつつある。歴代政権で繰り返されてきたことだが、「ろうそく革命」で誕生した政権だからこそ、より残念でならない。積弊清算と改革の旗を掲げて駆け抜けてきたものの、改革を仕上げなければならない重要な時期に官僚たちに指揮棒を任せるのは皮肉なことだ。高級官僚の大半はすでに既得権勢力化しているからだ。

 官僚が前面に配置され、不動産投機がすべての課題をブラックホールのように吸い込んでいる状況において、政権初期から中期に種がまかれた改革的措置が有名無実とならないかが憂慮される。政策が成果を出すには、改革の青写真を持つ政権の核心部と、実務に長けた官僚の、互いの牽制と均衡が何よりも重要だが、このような構造が崩れているからだ。政策は、法を作るだけでは実を結ばない。具体的な実行策は施行令、規定、細則などに盛り込まれる。いくら趣旨の良い法律であっても、これを執行する細部の方策によって十分に裏付けられなければ、竜頭蛇尾となりがちだ。悪魔は細部に隠れているものだが、この作業が完全に官僚の手に委ねられたわけだ。特に財閥、不動産、金融などの経済政策全般の後退が懸念される。

 最近の官僚は、過去の開発時代の公職者ではない。平凡で貧しい友人たちと隣り合って生きてきた官僚は見当たらない時代だ。政府高官の財産公開の内訳を見ればわかる。ソウル江南(カンナム)と世宗市(セジョンシ)にそれぞれマンションを所有していた者は、大統領府の複数住宅処分方針に従って「賢い一軒」を江南に残し、預金は少なくとも数億、多くは十数億ウォンを持っている。これが最近の主流の官僚の典型的な姿だ。そんな彼らに対して、庶民を中心に据えた経済政策を打ち出してくれることを望むのは、木によりて魚を求むに近い。

 官僚たちの既得権勢力化現象は、単に考え方と理念の保守性のみに起因するものではない。官僚は民間の経済権力との固い癒着・共生関係を維持している。その通路は情報と地位だ。高級情報を彼らのみで共有しつつ、早い時期に立地条件のよいところにマンションを購入し、果ては韓国土地住宅公社(LH)事件でも見られるように、投機すらしている。退任後は公共機関や関連協会、大企業や金融会社の社長などとして天下りする。企財部の官僚が使用者団体である全国経済人連合会や韓国経営者総協会などの幹部となったり、金融委員会の官僚が民間の金融協会長となったりするのが代表的な例だ。金融委の官僚たちは、協会長だけでは飽き足らないのか、協会ナンバー2のポストである専務まで占有するという、あきれた状況が繰り広げられている。メディアが問題提起しても、聞くふりすらしない。政権末期の公職者の綱紀はすでに乱れているのだ。

 こうした癒着が「持ちつ持たれつ」で終わるのなら、心配する必要はないだろう。しかし、その被害は一般国民が被るというのが問題だ。金融分野では、大型金融スキャンダルへと発展した私募ファンド問題で、顧客たちは7兆ウォン(約6860億円)近い損失を被った。私募ファンド問題は、直接的には金融会社の欲望が引き起こしたものだが、根本的には官僚がまともな管理監督体系も整えずに規制を無分別に緩和したことによるものだ。セウォル号惨事を思い出さずとも、官フィア(官僚+マフィア)の弊害はすでにうんざりするほど見てきたにもかかわらず、我々は未だに教訓を得られていないようだ。

 現政権は、金融分野では「消費者保護の強化」という改革の種をまいた。これまでは、金融産業の育成という大義名分の下に金融会社を重視してきた政策基調において、大きな変化の風が吹いている。金融監督に責任を持つ金融監督院長に、金監院発足以来初めて、官僚ではなく民間出身の改革者(ユン・ソクホン院長)を据えたからこそ、何とか可能だったのだ。ユン院長は、消費者の被害をもたらした金融会社の経営陣に対して、重い懲戒という制裁を下すなど、改革へと大きく舵を切ってきた。これに対し、金融業界は強い反発を示している。モフィア(金融官僚)たちも不満げな様子だ。モフィア出身のキム・グァンス全国銀行連合会会長の最近の発言は、これを象徴的に示している。「今回の金融監督当局の懲戒は、法制処と裁判所の基本的立場である『明確性の原則』とは比較的距離があるようだ。そのため金融圏では予測が難しく、不確実性を増加させるため、経営活動を萎縮させる危険性が高いと考える」

 補欠選挙を契機として内閣改造の可能性が高まっている。官僚に任せれば事がうまく処理されているように見えるだろう。しかし、ろうそく市民たちが求めていた抜本的な改革は遠ざかるだろう。何とか芽吹き始めていた改革の芽さえも摘み取られていくかもしれない。このような懸念が杞憂に終わることを願う。

パク・ヒョン経済産業部主任記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/opinion/column/989457.html韓国語原文入力:2021-04-02 19:43
訳D.K

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