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[社説]朝鮮半島は米国の対中国戦略の下位変数ではない

登録:2021-03-22 07:04 修正:2021-03-22 09:52
今月18日(現地時間)、米アラスカ州アンカレッジで米中高官級外交会談が開かれ、中国側からは楊潔チ共産党外交担当政治局員(左手前から2人目)と王毅外交担当国務委員兼外交部長(左端)が、米国側からはアントニー・ブリンケン国務長官(右手前から2人目)とジェイク・サリバン国務長官(右端)が対座した=アンカレッジ/AFP・聯合ニュース

 米国と中国が、18~19日(現地時間)に米アラスカのアンカレッジで開かれた高官級会談で、人権問題などをめぐり火花を散らした。この会談に先立って、米国の国務・国防長官が日本と韓国を続けて訪問し、米国のジョー・バイデン大統領は、4カ国(米国・日本・インド・オーストラリア)の協議体であるクアッドのテレビ会議形式の首脳会議を行った。米国は会談前に同盟国と中国を牽制するムードを最大限引き上げ、中国は会談で「内政干渉」だと激しく対抗した。公開の席上で正面衝突した米中の対立は予想より尖鋭だった。両国の間に挟まれた韓国の立場はさらに難しくなった。

 アンカレッジ会談で、全ての案件ごとに乱打戦を行った米国と中国が、北朝鮮問題については協力の余地を残したのは幸いだ。米国のアントニー・ブリンケン国務長官は中国との会談後に、香港、チベット、台湾問題などは中国と根本的に意見が一致しなかったと明らかにした。しかし、イラン、北朝鮮、アフガニスタン、気候変動のような議題については、中国と利害関係が重なると明らかにした。ブリンケン長官は訪韓期間中の会見でも「中国が自国の影響力を、北朝鮮が非核化に向けて進むよう効果的に使うことを希望する」と明らかにしている。韓国政府は、各分野で対立・競争する米中が北朝鮮に対しては協力するよう説得しなければならない課題を抱えることになった。韓国政府は総合的で緻密な外交戦略を整えなければならない。

 米国は日本と韓国への訪問を通じて、民主主義と価値外交などを前面に出し、北朝鮮の人権問題を強調した。普遍的な価値に即した北朝鮮の人権改善の必要性と重要性は否定できない。最近、米国は中国の人権問題と連携し、北朝鮮の人権を問題視するような態度を示した。バイデン政権の中国に対する圧迫のなか、ともすれば北朝鮮問題が漂流しかねないという懸念は捨てられない。その場合、私たちが朝鮮半島平和プロセスを再稼動するのは容易ではないという見通しだ。

 北朝鮮も態度を変えなければならない。南北関係の悪化の責任を韓国にだけ転嫁する激しい非難や情勢を悪化させる軍事行動はしてはならない。

 米国は、ドナルド・トランプ前大統領が米国の利益を前面に出した一国主義によって壊れた同盟関係を修復し、対中国牽制の重要な手段にするという意向を明確に示した。米国と同盟の利害関係は常に同じではない。両国は韓米同盟を互恵的に修復しなければならない。そのために米国は、朝鮮半島問題を対中国戦略の下位変数として扱うことはあってはならない。

(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/opinion/editorial/987661.html韓国語原文入力:2021-03-22 02:41
訳M.S

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