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[コラム]防衛費分担金、本来私たちが出さなければならない金なのか

登録:2021-03-12 05:39 修正:2021-03-13 06:59
「平和と統一を開く人たち」のメンバーが11日午前、ソウル鍾路区の大統領府の噴水台の前で「最悪の屈辱的防衛費分担協定妥結、文在寅政権糾弾記者会見」を開いている/聯合ニュース

 3年前の秋夕の時、ソウル大学のキム・ヨンミン教授が書いた「秋夕とは何か」というコラムが話題になった。秋夕に集まった親戚に「就職したのか」「いつ結婚するのか」などのありがた迷惑な質問に苦しんだ若者たちが歓呼した。そのコラムでキム・ヨンミン教授は、人々は平時には「私は誰か」などのアイデンティティを問う根本的な質問について特に関心はないが、自分の存在規定を脅かすほどの特異な事態が発生すると、新たに根本的な質問を投げざるを得ないと主張した。

 私は、アイデンティティを問う根本的な質問が、韓米防衛費分担特別協定にも必要だと考える。最近、韓国が在韓米軍の防衛費分担金で今年は1兆1833億ウォン(約1140億円)を払い、今後4年間は、前年度の国防費の増加率だけ毎年の防衛費を上げることで米国と合意した。その結果について外交部は「合理的で公平な分担という私たちの原則を守りぬいた」と自画自賛した。防衛費分担金交渉の最大の争点は、私たちがどのくらい出すのか(分担金総額)だった。米国は金をさらに出すよう求め、私たちはそこまでは払わないと対抗した。

 防衛費分担金は、私たちが当然出さなければならない金なのか。多くの人が「そうだ」と勘違いしているが、違う。「本来、米国が負担すると約束されていた経費を、“特別”措置を通じて韓国に押し付けたのがその始まりという点で、防衛費“分担”金という言葉自体に、すでに韓米同盟の不平等性が潜んでいる」(『トランプ時代、防衛費分担金を正しく知る』、パク・ギハク)

 在韓米軍の法的地位に関する内容は、1966年に締結した在韓米軍地位協定(SOFA)に入っている。SOFA第5条には、在韓米軍の費用分担の原則が明確に書かれている。「韓国が在韓米軍に施設と敷地を無償提供し、米国は在韓米軍の運営維持費について全ての責任を負う」というのが基本だ。このSOFA規定により、1990年までは米国が在韓米軍の駐留経費を全額負担してきた。米国は韓国だけでなく日本や欧州など、米軍が駐留した国々と駐留米軍地位協定(SOFA)や基地協定を結んだが、米軍の維持経費は米国が責任を負うものとされている。外国に軍隊を送る場合、その経費は軍隊を送った国が出すのが国際社会の慣行だからだ。

 1980年代末から米国は、私たちに在韓米軍の駐留費を分担し出すよう要求した。米国とソ連と激しく対立した冷戦の雰囲気がやわらぎ、米国は貿易と財政の赤字で経済情勢が苦しくなったからだ。そこに、今の韓国は生活水準がよくなったので、安全保障の費用を払わなければならないという米国内の世論も作用した。

 在韓米軍の費用を韓国が分担するとなると、SOFA第5条(米国全額負担)と衝突する。この問題を解決するために、韓米防衛費分担特別協定(Special Measures Agreement、SMA)が登場した。この協定に「特別」(Special)という単語が入っている理由は、SOFA第5条の適用を、協定の有効期間中に臨時に中断させる特別な措置だからだ。特別協定を結び米国に防衛費分担金を払う国は、韓国と日本だけだ。

 米国のドナルド・トランプ前大統領の途方もない値上げ要求により、2020年3月に妥結されなければならなかった防衛費分担金交渉が長期間漂流し、昨年から分担金の空白状態が1年以上続いた。資金源を失い切羽詰まっていた在韓米軍司令部が、2021年の韓国財政予算に含まれている防衛費分担金予算の一部を先に支援するよう要請した。しかし、韓国政府は金を出すことはできなかった。第10次協定の有効期間が2019年で終わり、SOFA規定を飛び越えて在韓米軍に金を支給する法的根拠がなかったからだった。

 防衛費分担特別協定は、SOFA規定の適用をそのつど一時的に留保する一時協定だ。この協定は、1991年の1次から始まり、今年の11次まで30年間続いた。一時協定が永久協定のように定着し、韓国は当然出さなければならない金を与え、米国は受けなければならない金を受け取るという誤解が固まった。経済活動では、金は座って与え立って受けとるが、防衛費分担金交渉では、立って与え座って受けとる奇妙な状況が作られた。

 防衛費分担の趣旨は「在韓米軍の安定的な駐留条件支援」だ。米軍は、朝鮮半島外にある駐日米軍所属の航空機も防衛費分担金で整備している。その額は、2014~2019年で総額1088億ウォン(約104億円)、年平均で181億ウォン(約17億円)ほどだ。米国は、朝鮮半島で戦争が起きれば増員することになっている駐日米軍の航空機を整備しているため朝鮮半島の防衛に貢献すると、幅広く解釈する。そのようなやり方で朝鮮半島外の米軍にも金を使い始めれば、きりがなくなる。

 防衛費分担金を「合理的で公平に分担した」と誇る大統領府と外交部の当局者に問い返す。防衛費分担金とは何か。その金は本来私たちが出さなければならないのか。

クォン・ヒョクチョル|論説委員 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/opinion/column/986462.html韓国語原文入力:2021-03-11 20:42
訳M.S

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