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[社説]サムスン電子の史上初の団体交渉、「労使共存」の結実を

登録:2020-11-04 01:47 修正:2020-11-04 09:05
3日午前、ソウル汝矣島の韓国労働組合総連盟で開かれたサムスン電子労使による団体交渉の初顔合わせおよび第1回本交渉で、労使の交渉委員たちが挨拶を交わしている/聯合ニュース

 サムスン電子の労使が3日、団体交渉を開始した。サムスン電子の事業所に属する4つの労働組合の共同交渉団はこの日、会社側との初顔合わせを兼ねた第1回本交渉を行い、交渉のための基本原則と実務的な事案に合意した。共同交渉団は、サムスン電子初の団体協約締結を目標にしている。会社側が実質的に団体交渉に応じたのは、サムスン電子の51年の歴史で、今回が初めてだという。労使ともに信頼を守り、誠実に話し合いを続け、互いの共存の実が結ばれんことを願う。

 一企業の団体交渉に韓国社会の耳目が集中するのは、やはりサムスン電子をはじめとするグループ全体が、創業以来最近まで「無労組経営」の方針を貫いてきたからだ。このような超憲法的な経営方針を維持するために、会社側はあらゆる無理な手段を動員してきた。これに立ち向かう労働者たちの激しい闘いと悲劇的な犠牲が続いたことは否めない事実だ。子会社であるサムスン電子サービスの協力会社の労働者が、労組弾圧に抗議して自ら命を絶った際、警察をそそのかして故人の遺体まで奪ったのは、わずか6年前のことだ。

 サムスン電子のイ・ジェヨン副会長は今年5月、国民向け謝罪文を発表し、無労組経営の撤回を約束した。事実上、チェ・スンシル国政壟断事件の破棄差し戻し審が開かれる裁判所とサムスン順法監視委員会に押されて行われた謝罪のため、その本気度を疑う視線が少なからずあった。そのような面から今回の団体交渉は、イ副会長の本気度を立証できるこの上ない機会だと考えられる。韓国を代表する企業かつ屈指のグローバル企業としての地位にふさわしく、労使関係をはじめとする企業文化を飛躍させる機会であることは言うまでもない。

 労組の責任も重い。労組活動を行う権利を勝ち取るために犠牲もいとわない人々がいなかったら、今回の団体交渉もなかったはずだ。彼らの献身を無駄にしてはならない。4つの労組はいずれも設立されてから1~2年しか経っておらず、組合員数は全部合わせても数百人にすぎない。10万人を超えるサムスン電子の労働者の絶対多数はまだ未組織の状態だ。今回の団体交渉で有意義な成果が出れば、組合員を増やすことに大いに役立つだろう。4つの労組が連帯し、すべての労働者をまとめる組織に成長してほしい。

 サムスン電子の労使が心を一つにして共存の労使関係を築き、無労組時代より優れた成果を上げるとともに、韓国経済にもより大きく貢献してくれることを、国民は期待している。

(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/opinion/editorial/968397.html韓国語原文入力:2020-11-03 18:13
訳D.K

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