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[社説]火災で大やけどの兄弟、保護措置が適切な時期に取られていたなら

登録:2020-09-19 01:55 修正:2020-09-19 14:51
母親が家を空けている間に小学生の兄弟がラーメンを作ろうとして火事が発生した仁川市弥鄒忽区のある集合住宅から出たものと推定されるカップラーメンの容器が17日、水たまりに浮かんでいる=仁川/聯合ニュース

 小学生の兄弟がラーメンを作って食事をしようとして火事が発生し重体となっている事故が、児童虐待を適切な時期に防げなかったことによる「予告された悲劇」であることが明らかとなり、やるせなさが募る。仁川市の弥鄒忽(ミチュホル)警察署の調査結果などによると、家庭内暴力に苛まれて離婚し、その後うつ病を患っていた母親は、2年以上にわたり子どもたちの世話をまともにせず放置してきたという。火事が起こった当時も、母親は前日に家を出て帰っていなかった。

 子どもたちが親に世話してもらえず放置されていることを知った隣人たちは、2018年から何度も仁川市の児童保護専門機関に通報していたという。児童保護専門機関は、2年近い管理にもかかわらず養育環境が改善されていないうえ、子どもたちの状態が悪化していたことから、今年5月に仁川家庭裁判所に対し「被害児童保護命令」を請求した。子どもたちを母親から隔離して保護施設に委託するよう措置してほしいというものだった。しかし裁判所は、隔離ではなく相談・委託処分を下した。もし、子どもたちがこの時、安全な環境に移されていたなら、この惨事は免れていたかもしれない。複雑な心情を抑えきれない。

 被害児童保護命令制は、裁判所が被害児童の隔離、施設への委託、親権行使の制限などを決定する制度だが、手続き上の困難などで実際に隔離処分が出るケースは少ない。一方、相談処分は強制性が弱く、親が履行しなくても過料以外の措置が取れない。第一線の保護機関によると、このような相談拒否は40%に達するという。相談を拒否した親が子どもを再び虐待する可能性が高いということからも、制度改善が必要だ。

 兄弟の母親が地域社会の育児支援を拒否したのには、うつ病などの心理的理由も作用したものと見られる。このように、児童虐待は単に加害-被害だけでは説明できない複雑な問題が絡み合っている。被害児童だけでなく、加害者である親の状態も綿密に調べ、適切な措置を取らなければならない理由がここにある。

 コロナ禍が長引き、世話されず放置される子どもたちが増えている。今回事故にあった兄弟も、放置虐待が続く中で、コロナ禍により学校に行けず、食事にも困難を抱えていたと思われる。コロナ経済危機による低所得層家庭の苦しみは、子どもたちにも否応なく大きな傷を負わせる。今回の火災事故のような悲劇が繰り返されることを防ぐためには、福祉当局や地域社会のより積極的かつ隙間のない対応が切に求められる。

(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/opinion/editorial/962774.html韓国語原文入力:2020-09-18 18:38
訳D.K

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