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[社説]「新型コロナ」拡散遮断、政府は「先制的」対応を

登録:2020-01-28 02:44 修正:2020-01-28 07:21
4人目の患者、空港・病院防疫網にかからず 
政府、ようやく武漢からの入国者全数調査 
予防ルールの遵守など、国民的協力が必要
27日、京畿道城南市の盆唐ソウル大学病院の「国家指定入院治療病床」に「新型コロナウィルス感染症」の疑いのある患者が入っているところ=城南/キム・ミョンジン記者//ハンギョレ新聞社

 「新型コロナウィルス感染症」が中国にとどまらず全世界的に拡散する中、27日、国内で四例目の患者が確認された。中国の武漢市から入国したこの患者は、空港の検疫過程をはじめ国内の病院の検査にも引っかかっていない。防疫網に穴があいていたことになる。

 4人目の患者は55歳の韓国人男性で、武漢市を訪問し20日に帰国。咳や発熱などの症状もなく、空港の検疫網をそのまま通過し、21日と25日に風邪と高熱で二度も病院で診察を受けたが、ここでも引っかからなかったという。健康保険審査評価院が全国の医療機関にリアルタイムで提供する感染症発生地域訪問者情報システムが、なぜかまともに稼動していなかったためだ。保健当局は4人目の患者の接触者の把握と管理に力を入れている。3人目の患者となった54歳の韓国人男性も20日の入国時には症状がなく、空港検疫を通過していたが、幸い追加感染者はまだいないことが確認された。最初の患者と2人目の患者は入国の際に軽微な症状が発見され、それぞれ「調査対象者」と「監視対象者」に分類されている。

 中国政府の不十分な情報公開と遅い対応のため限界があったとはいえ、韓国政府の対処も一歩遅れていることは指摘せざるを得ない。事態発生の初期段階から、武漢市から入ってくる入国者を全数調査し、追跡管理すべきだった。にもかかわらず、政府は27日にようやく中央事故収拾本部を立ち上げ、危機警報の段階を「注意」から「警戒」に引き上げた。また、一歩遅れて武漢市からの入国者に対する全数調査を実施することにした。

 政府が25日に、湖北省全域に対する旅行警報を「旅行自制」(第2段階)から「退避勧告」(第3段階)に上方修正したのも、「後手の対応」という批判は避けられまい。チョン・セギュン首相の主宰で24日に開かれた緊急関係機関会議で、武漢市に足止めされている韓国国民の撤収に向け、チャーター機投入などを推進することを決定した翌日だった。政府は武漢市で孤立している国民を速やかに安全に帰国させる一方、彼らの感染の有無の検査と2次感染予防対策を徹底的に準備すべきである。

 もちろん、このような時ほど、国民が過度な不安に陥らないようにする必要がある。しかし政府だけは事態の深刻さを重く認識し、隙のない対応をすべきだ。その意味でパク・ウォンスン市長が26日にソウル市緊急対策会議で「遅い対応より過剰対応の方がましだ」と語ったのは一理ある。国民の生命と安全より重要なものはないからだ。朴槿恵(パク・クネ)政権時代の2015年「MERS事態」では、政府の未熟な対応が被害を大きくしたことを教訓にすべきである。政府が積極的かつ先制的な対応をすべきだ。

 患者を早期に発見し、感染拡散を遮断するためには、政府と医療界の徹底した対応だけでなく、市民の協力も必要だ。直近に武漢を訪れた入国者は、異常症状が発生した場合、直ちに疾病管理本部に届け出なければならない。また、症状がなくても最大の潜伏期が2週間と推定されることから、この期間には外部活動を自制しなければならない。専門家らは、外出の際はマスクを着用し、外出後は手をきれいに洗うなど、予防ルールを徹底的に守るよう国民に呼びかけている。面倒でも、それが自分や家族、隣人の生命と安全を守る道である。

(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/opinion/editorial/925807.html韓国語原文入力:2020-01-27 18:34
訳D.K

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