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[社説]人種差別は帰化選手に対してばかりではない

登録:2020-01-16 22:05 修正:2020-01-17 09:11
昨年のプロバスケット4強のプレーオフで競技するラ・ゴナ選手(左、現代モービス時代)とブランドン・ブラウン選手(全州KCC時代)=韓国バスケットボール連盟(KBL)提供//ハンギョレ新聞社

 黒人のプロバスケット選手のラ・ゴナ(韓国名「羅健児」、本名リカルド・ラトリフ、KCC所属)とブランドン・ブラウン(KGC所属)の両氏が16日、人種差別の被害を訴えた。ラ・ゴナ選手はSNSで「自分の国に帰れ」というコメントを受けたり、さらに「黒んぼ(nigger)」という露骨な蔑視発言を聞いたと明らかにした。ブラウン選手も「交通事故に遭うことを願う」という呪いに近い発言を聞いたという。激しい差別とヘイト発言にいかに深い傷を受けたか察してあまりある。このような形の「人種差別」は彼らだけ体験しているものではない。普遍的な人権に基づいた成熟した市民意識が足りない。

 ラ・ゴナ選手は米国出身で2012年から韓国のプロのコートを駆け回っている。2018年1月には「特別帰化」として二重国籍を取得し、韓国代表チームのセンターを受け持っている。帰化当時、彼は「私にとって韓国は愛だ。初めて来た時、とても暖かく迎えてもらった。これからは国際大会のメダルを取ることで報いたい」と話していた。ファンの立場から、競技内容が気に入らず批判することはあろうが、それでもどんな理由があっても人種差別発言は容認できない。

 人種差別は外国においては韓国人が被害者になりうる問題だ。英国に進出したサッカー選手のソン・フンミンは、何度も欧州のファンから人種差別的な侮辱を受け、昨年には女子バレーの代表チームが相手チームからアジア人を卑下する「細いつり目」のポーズをされる目にもあった。日本では右翼の「嫌韓発言」で在日同胞がひどい苦痛を味わっている。そのような話を聞かされるたびに怒りながら、韓国社会でそのような境遇に置かれた彼らになぜ同様の行動をするのか、私たち皆が見直すべき時だ。

 韓国社会が人種差別が激しいということは、恥ずかしながら否めない事実だ。欧州系の外国人には好意的であっても、貧しい国から来た人たちには冷たいのが韓国の実の姿ではないかと思う。国連の人種差別撤廃委員会も2018年12月「韓国の人種差別は深刻で国家的危機につながりかねない」と警告した。韓国社会はさまざまな国の出身者が共に交わって生きる多文化社会として、すでに変化している。今回の事件は、数多くの多文化家庭の子どもたちが体験する苦痛の一断面を見せた事例であろう。

 スポーツ界はさまざまな種目で活動する外国出身選手たちが同じような苦痛に遭わないよう注視せねばならない。今回のことが「私たちの中の差別」を再確認して改善するきっかけなることを願う。

(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/opinion/editorial/924735.html 韓国語原文入力:2020/01/16 18:38
訳T.W

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