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[社説]韓日・朝鮮半島の荒波の中で振り返る金大中元大統領の“平和精神”

登録:2019-08-19 07:03 修正:2019-08-19 07:43
金大中大統領と小淵恵三首相が1998年10月、東京で首脳会談を行っている=ハンギョレ資料写真//ハンギョレ新聞社

 18日で金大中(キム・デジュン)元大統領10周忌を迎えた。与野党の政治家たちが一様に追悼する場面が新鮮に感じられるほど時局は厳しいが、それだけ金元大統領が残した足跡は大きい。文在寅(ムン・ジェイン)大統領はフェイスブックに「歴史を恐れる真の勇気を改めて胸に刻む」としたうえで、「国民とともに平和と繁栄の朝鮮半島を必ず実現する」と決意する書き込みを残した。同日、ソウル顕忠院で開かれた追悼式では、ムン・ヒサン国会議長をはじめ、イ・ヘチャン共に民主党代表や李洛淵(イ・ナギョン)首相など、与党関係者だけでなく、ファン・ギョアン自由韓国党代表も「我々皆が一丸となり、金元大統領の大きな志に従うことを心より願っている」と追悼の辞を述べた。

 金元大統領は、朝鮮半島の平和と民主主義の進展に大きく貢献した。19年前、史上初の南北首脳会談と6・15南北共同宣言で第一歩を踏み出した朝鮮半島の平和と和解の気流は、紆余曲折はあったものの、それ以降3回の南北首脳会談と朝米首脳会談に続く南北米首脳の板門店(パンムンジョム)会合で、後戻りのできないものになっている。最近、北朝鮮のミサイル発射などで遅れてはいるものの、大枠で朝鮮半島の平和と非核化に向けた歩みは続いている。金剛山(クムガンサン)観光と開城(ケソン)工業団地は再会されていないが、南北は軍事合意で緊張緩和も一段階進展させた。冷戦体制の維持を図る国内外の既得権勢力は、依然として妨害を続けているが、国民ももはやそのような退行に簡単には動揺しない。ただし、平和を制度として定着させるまでは、まだ遠い道のりが残っている。金元大統領が示した根気と知恵を今一度胸に刻むべき時だ。

 韓日関係が“経済戦争”を彷彿とさせる最近の状況は、21年前の「金大中-小渕宣言」を振り返らせる。過去の歴史問題に対する日本首相の公式“謝罪”と日本大衆文化の開放に象徴される当時の「韓日共同宣言:21世紀に向けた新たな日韓パートナーシップ」は、韓日関係を一段階前進させた画期的な宣言と評価された。金元大統領秘書室長出身のキム・ハンジョン共に民主党議員がハンギョレとのインタビューで明らかにしたように、「安倍首相に代表される日本の極右政治勢力が、小淵・小泉時代に行われた成果をすべて壊した」ことが今日の“戦争”の根本原因であることは言うまでもない。「日本会議」など日本の極右勢力は、中国の浮上と北朝鮮の核を口実に過去の“謝罪”を覆し、歴史教科書を修正し、「戦争できる国」に向けて改憲まで推し進めている。

 「書生的な問題意識」と「商人的な現実感覚」で半歩ずつ前へ進もうと呼びかけた金元大統領の経験と知恵が切に求められる今日この頃だ。

(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/opinion/editorial/906167.html韓国語原文入力:2019-08-18 19:13
訳H.J

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