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[社説]貿易紛争まねく可能性が高い「ILO協約」批准遅滞

登録:2019-07-06 07:57 修正:2019-07-06 09:41
韓国労働研究院が先月18日、ソウル汝矣島のCCMMビルで開いた「国際労働機関の核心協約批准と立法的争点討論会」で、発題者を務めたイ・スンウク教授(一番右)が討論者たちの討論を聞いている=チョン・ジョンフィ記者//ハンギョレ新聞社

 韓国が国際労働機関(ILO)の核心協約を批准しなかったことを問題視し、欧州連合(EU)が最近、「専門家パネル」の招集を公式に要請したという。核心協約の批准は、2011年に両者に発効された自由貿易協定の主な条件だが、韓国は8項目のうち4項目をまだ批准していない。専門家パネルの招集は、自由貿易協定の紛争解決過程の最後の段階だ。欧州連合が韓国の協定違反の事実を確定し、制裁準備の手続きに入ったと見なければならない。

 欧州連合は74カ国と自由貿易協定を結んでいるが、専門家パネル招集まで行ったのは初めてという。問題となる核心協約の4項目は、結社の自由と団体交渉権、強制労働の禁止など、もっとも基本的な労働権を含んでいる。労働基本権を認めない国として国際社会に公認されたということであり、非常に恥ずかしいことだ。しかも、欧州連合は韓国政府が定期国会の時に立法と協約の批准同意案を出すと言ったのに、国会の議決が政治的に不確実だと判断し、このような決定を下したという。

 欧州連合の判断は常識的なものだ。4月、経済社会労働委員会の公益委員らが「核心協約の批准勧告案」を出すと、自由韓国党所属のキム・ハギョン国会環境労働委員長は「核心協約が批准されれば、労使関係の“傾いた運動場”が“ひっくり返った運動場”になる」と“暴言”を吐いた。欧州連合は、自由韓国党のナ・ギョンウォン院内代表が国会演説で労働基準法と労働組合法など労働関係法を否定した事実にも注視しているだろう。

 自由韓国党といくつかの経営者団体は、欧州連合が専門家パネルを召集しても強制性のない諮問や勧告レベルの処置に止まり、経済制裁は不可能だと主張する。分別のない話だ。通商分野の専門家らは、自由貿易協定締結国家間で協定の履行問題で紛争が起きれば、問題を提起した側から相手国に対する自国企業の投資を留保させたり、相手国企業の輸出品に対する通関手続きをはるかに強化することもありうると警告している。

 欧州連合は「多国籍企業ガイドライン」の法制化も急いでいる。欧州連合域内で企業活動や取引を行うには、これらの国より不利な労働基準を用いてはならず、これに反すれば処罰する規定まで含めたと言われている。国際労働機関の核心協約の批准に反対する政党や団体は、このような流れに対する自分の無知に気付くことを願う。

(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/opinion/editorial/900682.html韓国語原文入力:2019-07-05 19:06
訳M.C

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