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[社説]「臨時政府100年」価値守る戦いはまだ進行中

登録:2019-04-11 09:23 修正:2019-04-11 12:32
1919年憲法「主権は国民全体に在る」 
日本に対抗した闘争、“ろうそく”精神につながる 
臨時政府の正統性否定する動きが露骨化することを懸念 
1942年10月、重慶で構成された臨時政府の第34回臨時議政院記念写真。左右を網羅した統合議会を構成した=ハンギョレ資料写真//ハンギョレ新聞社

 日本帝国主義に対抗し、中国上海で大韓民国臨時政府を樹立してから11日でちょうど100年となる。奪われた国を取り戻そうと、異域万里で艱難辛苦を乗り越え、抗日独立闘争を戦った多くの先烈の労苦に、襟を正さずにはいられない。彼らの献身と犠牲で、大韓民国は世界に恥じない経済・文化強国に成長した。しかし、新しい100年を迎える私たちには、上海臨時政府が成し遂げようとした未完の課題がまだ残っている。朝鮮半島の平和と統一の夢、そして「主権は国民に在る」という民主共和政の原則を振り返り、大韓民国臨時政府の現在の意味を再び問う。

 上海臨時政府の志向と精神は、1919年4月11日に臨時議政院が制定して補完し、同年11月に正式に公布した「臨時政府憲法」によく表れている。8章58条で構成された臨時政府憲法の第1条と第2条は、「大韓民国は大韓の人民で組織し、大韓民国の主権は大韓人民全体に在る」と規定している。映画「弁護人」で、1千万観客の心に響いた「大韓民国憲法第1条第2項、大韓民国の主権は国民に在り、全ての権力は国民に由来する」という俳優ソン・ガンホ氏のセリフが、100年前の臨時政府憲法にそのまま込められていたのだ。2016年、国民を裏切った大統領を弾劾した広場のろうそく市民が叫んだ「主権在民」の精神が、臨時政府から発源し解放以来受け継がれてきたという事実が、今私たちに与える意味は特別だ。

 まさにその点において、上海臨時政府が大韓民国政府の正統性の始まりであり、韓国社会を導いてきた原動力であることはあまりにも明白で、異論の余地がない。にもかかわらず、約10年前から、ニューライトをはじめ保守の一部で、臨時政府の正統性を否定して1948年8月15日の韓国単独政府樹立日を「建国節」に昇格させようと主張するのは、容認しがたい。抗日闘争と民主主義の価値を埋没させ、ひたすら「左翼に対する右翼の闘争」だけを浮き彫りにする歪んだ行動と言わざるを得ない。臨時政府樹立100周年が、そのような誤った歴史認識を正し、国民分裂を克服していくきっかけになることを切に願っている。

 「臨時政府」は100年の歳月を超えて、今この瞬間、韓国社会の真ん中を貫通している。金九(キム・グ)先生をはじめ、臨時政府の要人が感激の帰国をした後、南北統合政府の樹立に努めたのは、朝鮮半島の平和と統一に向けた今日の努力と相通じるものがある。また、最近、第1野党の自由韓国党院内代表の口から「反民族行為調査特別委員会(反民特委)が国民を分裂させた」という主張が公然と出ている現実は、解放直後、親日派の温存とこれに基づいた独裁勢力の跋扈(ばっこ)を思い起こさせる。臨時政府が追求した「主権在民」の価値は、依然として危うい崖の上に立たされている。文在寅(ムン・ジェイン)大統領が明らかにした「反則と特権の時代の終息」が今、韓国の課題になるのも同じ脈絡だろう。

 100年前に胎動した大韓民国臨時政府は、過ぎた過去や化石化した歴史ではない。その価値を守ろうとする戦いは、2019年4月にも現在進行形である。

(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/opinion/editorial/889525.html韓国語原文入力:2019-04-10 19:09
訳H.J

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