本文に移動

[社説]平壌共同宣言「後戻りなしの平和」の道筋示す

登録:2018-09-19 22:04 修正:2018-09-21 07:56
軍事分野合意書、南北間「終戦宣言」
非核化問題で「査察用意」を表明し注目
韓米首脳会談で米の呼応引き出す
文在寅大統領と金正恩委員長が19日、平壌の百花園迎賓館で平壌の共同宣言を発表した後握手している=平壌/写真共同取材団//ハンギョレ新聞社

 文在寅(ムン・ジェイン)大統領と金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長が19日「9月平壌共同宣言」を発表した。文大統領と金委員長はこの日午前、平壌の百花園迎賓館で2日目の首脳会談を終え、世界が見守る中で歴史的な共同宣言に署名した後、記者会見を通じてこの宣言の意味を明らかにした。両首脳は平壌共同宣言の付属文書で「歴史的な板門店宣言履行のための軍事分野合意書」も共に採択した。事実上南北の終戦宣言といえる軍事分野合意書を採択し、恒久的平和の新しい歴史を刻んだという点から、平壌共同宣言の意義は倍加されたといえる。文大統領はソウルを離れる前に、今回の首脳会談で宣言や声明はなされないだろうと話していたが、首脳会談の結果は前回の板門店宣言を具体化する域を越え、朝鮮半島の平和に後戻りのない道しるべを立てたという評価を受けるに値する。特に、金委員長が記者会見で全世界に非核化の意志を肉声で明らかにしたことは今回の共同宣言の意義を高めた。金委員長が特別な事情がない限り年内にソウルを答礼訪問することにしたことも、朝鮮半島の恒久的平和定着のための重大な決心というに値する。

 今回両首脳が合意した共同宣言で最も目立つ成果は、軍事分野の合意だ。両首脳が見守る中、南北国防首長が署名した軍事分野合意書は、軍事的緊張緩和と戦争の危険性の終息に決定的な一歩を踏み出した文書ということができる。先の共同宣言で両首脳は、非武装地帯をはじめとする対立地域で軍事的敵対関係を終息し、朝鮮半島全地域での実質的な戦争の危険性の除去と根本的な敵対関係の解消を継続することにした。両首脳が保証した付属合意書で「いかなる場合にも」武力を使用しないことにしたことは、事実上の不可侵宣言というに値する。引き続き南北は地上と海上、空中をはじめとするすべての空間で武力衝突を防止するために、さまざまな対策を用意した。板門店宣言の内容をさまざまな層の上に深化して具体化したという点が目立つ。

 付属合意書で南北が朝鮮半島西海岸の北方境界線一帯を平和水域にし、偶発的な軍事衝突を防止して試験的共同漁労区域を設定することにしたことは、この地域の平和な利用のためにさらに一歩前進したものと評価できる。南北が漢江(ハンガン)の河口の共同利用のための軍事的保障対策を整備することにしたことも目を引く。特に、今回南北が軍事共同委員会を早く稼動することで合意したのは、軍事的緊張緩和と戦争の危険防止を制度化するために重要な進展だ。軍事共同委員会を具体化させれば、軍事分野合意の履行の実態を常に点検でき、偶発的な武力衝突の防止のための緊密な疎通と協議をすることができる。

文在寅大統領と金正恩委員長が19日、百花園迎賓館でソン・ヨンム国防部長官とノ・グァンチョル人民武力上の板門店宣言の履行に向けた軍事分野合意書を署名するのを見守っている=平壌/写真共同取材団//ハンギョレ新聞社

 平壌の首脳会談で最も大きな関心を集めたのは「非核化」問題だ。この分野で南北首脳は、板門店宣言の内容を越える非核化の意志を明らかにし、非核化の初期措置についても具体的な案に言及した。首脳宣言は「朝鮮半島を核兵器と核の脅威のない平和な拠点にするべきで、このために必要な実質的な進展を早く成し遂げていかねばならない」と明らかにした。実質的で早急な進展を強調したことは、金委員長の非核化の意志を明確に見せたものと理解できる。特に、北朝鮮が東倉里(トンチャンリ)のミサイル試験場と発射台を関係国の専門家の前で永久的に廃棄することを明示したことが注目される。北はこれまで東倉里ミサイル試験場と発射台の解体作業を進めてきたが、関連国の専門家の参観がないという理由から「見せかけの廃棄」という話が多かった。今回の合意は国際社会の不信を解消するのに多いに役に立つと見られる。

 これと共に、北が寧辺(ヨンビョン)の核施設の永久的な廃棄のような追加的な措置を継続していく用意があることを表明したことは意味深長だ。もちろんこの措置は「米国が6・12朝米共同声明の精神により相応の措置を取れば」という条件がついているが、米国が終戦宣言に先立って非核化の措置を取ることを要求したことに対する応答と解釈できるという点から関心が湧く。東倉里のエンジン試験場を廃棄するのと同時に、寧辺核施設廃棄を公開的に約束することによって、米国が終戦宣言で応える土台を用意したと見られる。もう残っているのは北朝鮮のこのような提案に米国の呼応を引き出すことだ。

 今回の共同宣言でより一層目を引くのは、金委員長が肉声で非核化の意志を明らかにした点だ。同委員長は記者会見で「朝鮮半島を核兵器も核の脅威もない平和な土地とするために積極的に努力していくことを文大統領と確約した」と明らかにした。金委員長が非核化に対する確固たる意志を明らかにしたのは初めてではないが、このように公開の席上で直接声をあげたのは初めてだ。これに関連してチョン・ウィヨン大統領府国家安保室長は「共同宣言の内容以外にも多くの議論をした」と話したことに注目する。発表された内容だけを見ると、当初米国が期待した水準までは進むことはできないと見られるが、今後北朝鮮と米国の交渉を見守る必要がある。

 共同宣言に対する米国の反応が即座に肯定的であった点は喜ばしいことだ。文大統領はトランプ大統領と25日に米国で会い、首脳会談をする。この席で北朝鮮と米国の非核化交渉が再開となって、二回目の朝米首脳会談が早く開かれなければならない。必要ならば文大統領の訪米前に特使や外交当局者を送って首脳会談内容を詳細に伝えるのも手だ。

 今回の宣言はいろいろな面から板門店宣言の抽象的で宣伝的な内容を越え、南北関係進展のための具体的な策を表わしたと見られる。今回の首脳会談の成果が朝米の非核化交渉で画期的な突破口を整備につながることを期待する。文大統領は平壌訪問の最終日である20日、金委員長と共に白頭山を訪ねることにした。両首脳が共に南北すべての象徴のような白頭山に登り、民族の平和と繁栄のためにさらに深く信実な関係を結ぶことを願う。

(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/opinion/editorial/862848.html韓国語原文入力:2018/09/19 19:02
訳T.W

関連記事