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[寄稿]朝鮮半島平和のための包括的「平和体制」に何を含めるべきか

登録:2018-04-19 09:04 修正:2018-04-20 07:19
「4.27南北首脳会談」を控えた19日午前、ソウル市中区のソウル図書館の壁面に「南と北が作る平和、ソウル市もともにします」という文句が書かれた横断幕がかけられている=キム・ソングァン記者//ハンギョレ新聞社

 平昌冬季五輪以後、朝鮮半島に冷戦の氷河を崩すような平和の春が来ている。その出発となる4月27日、板門店(パンムンジョム)南北首脳会談の焦点は、非核化と朝鮮半島の平和体制をどう調整するかである。しかし、どれも簡単ではない。非核化は国際体制そして核独占国の覇権主義と直接つながっている。平和体制は朝米敵対関係の終焉および北朝鮮の体制の存立に直結した問題だ。首脳会談で両者を一括妥結するとしても、その具体的な履行は国内的、二国間、多国的制度化の手続きを踏まなければならない。これは南北、朝米両者にとっては「平和共存の制度化」の問題であり、南北米各自にとっては「国内法化措置の問題」、そして国際的にはその実行を担保する「多国間安保協力機構」の設置問題になるだろう。「平和体制」(peace regime)は、それら全てを包括的にまとめたものだ。また、平和体制は単に戦時状態の法律的終結および軍事的信頼構築を含めた平和条約(peace treaty、平和議定書)を超えて、この実効性を保障する多国間安全保障装置(平和保障文書)まで含む包括的概念だ。要約すると、平和体制は法的に戦時状態の平時状態への転換および軍事的信頼構築装置を含む「平和議定書」と、その実践を担保する「平和保障文書」までを含む。

 非核化交渉で、米国は北朝鮮に不可逆的な核廃棄(CVID)を要求し、北朝鮮は米国側に敵対関係の終息に基づくやはり不可逆的な平和体制(CVIG)を要求している。南北、朝米首脳会談ではひとまず大きな枠組みで一括合意し、実務会談でこれを段階的かつ漸進的な国内法的履行措置につなげなければならないだろう。

 朝鮮半島の平和と統一のプロセスは、南北が中心になり、米国あるいは中国周辺国の協力と保障(2+2)のもとに行われるのが最も望ましい。そのような点で、1991年12月に締結された南北基本合意書第5条に則った平和体制に進むのが最も現実性があると見る。南北はこの5条で、朝鮮半島の平和体制を構築するために現在の休戦協定を「強固な平和状態」に転換することで合意している。それでもこの重要な南北基本合意書は、国内的実効性を与える手続きである国会の批准同意をまだ受けていない。北は国内的効力を与える手続きを踏んだという。

「平和条約」よりは包括的な「平和体制」が望ましい

前文で平和体制に言及したが、分断国家の特性上、朝鮮半島には国際法上の平和条約(peace treaty)よりは、包括的な平和体制(peace regime)がより適している。なぜなら、国際法上平和条約は少なくとも、戦争の終息、関係正常化、戦時中の問題解決(境界線の画定、捕虜、戦犯など)という3つの要素が必ず含まれなければならない。ところが、65年以上戦争と分断体制を経験してきた南北は、一番目目、二番目は合意できても、果たして三番目の武力衝突中に起こった問題、特に、領土画定、戦犯処罰など敏感な問題で合意できるかは極めて疑問だからだ。この問題を再論する場合、また別の戦争に回帰しかねない。そのため、伝統的平和条約よりも戦争の終息、関係正常化が含まれる法的な側面と軍事的信頼構築装置の側面、国際政治的側面という3つの要素を考慮した平和体制がより望ましい。

 朝鮮半島の状況を考慮し、まず法的側面では戦争の終息の明示と関係正常化の法的文書を、軍事的側面では軍事的信頼構築の担保を規定した非武装地帯平和管理委員会の設置を、そして上記の二要素の実践性を担保する国際的保障機構(「多国間平和安保会議」)を含む平和体制が、より現実性があるだろう。その理由は、歴史的経験上平和条約という文書だけでは平和が保障されなかった事例を何度も見たからだ。

南北基本合意書5条に基づく平和議定書締結

したがって、上で言及したように、韓国と北朝鮮が南北基本合意書第5条に基づき、これを履行する「平和議定書」を締結し、これを可能なかぎり少数の周辺利害国によって国際的に保障される「平和保障文書」を締結する必要がある。南北間のこの「平和議定書」には、戦時状態の法的終結、全ての分野での関係正常化、分断過程の平和的な管理が含まれなければならない。また、この二つの文書は、当事国の国会の批准同意を受けるべきだろう。これは、韓国や米国の政府が変わっても法制度化で持続性を保つためだ。

イ・チャンヒ外国語大学名誉教授//ハンギョレ新聞社

 これをもとに、平和体制を裏付ける3大機構を新たに構築しなければならない。既存の休戦協定上、軍事境界線(MDL)は南北基本合意書の「南北不可侵境界線」に、軍事停戦委員会は基本合意書の「南北軍事共同委員会」に代替し、中立国監視委員会は「朝鮮半島平和管理国際委員会」の新設で代替しなければならないだろう。このような平和体制は、平和統一のロードマップに設定された「和解協力と平和共存(平和体制)-南北連合(低い段階の連邦制)-1民族1国家」の二番目の段階を完成させるとともに、平和共存の制度化および国内法化に向けた出発として重要な意味がある。

イ・チャンヒ外国語大学名誉教授(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/politics/defense/841184.html韓国語原文入力:2018-04-18 22:19
訳M.C

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