平壌(ピョンヤン)を訪問した対北朝鮮特使団が6日、予想を越える重大な成果を手に帰還した。南北は4月末の南北首脳会談開催に合意した。また、北は朝鮮半島の非核化問題を協議し、北朝鮮と米国の関係正常化のために米国と対話する用意だけでなく、体制の安全が保障されれば核を保有する理由がないという意も明らかにした。誰も予想できないレベルの前向きな解決法を提示したわけだ。特使団が持ち帰った成果を国民と共に歓迎する。
今回の南北合意の重要点は、南北首脳会談開催と非核化問題にまとめられる。まず、南北首脳会談開催問題に関して南北が度量の大きい合意を成し遂げられたことは意味が大きい。特に平壌でなく板門店(パンムンジョム)で首脳会談をすることも、北としては非常に前向きな姿勢を見せている。北の金正恩(キム・ジョンウン)委員長は先月、金与正(キム・ヨジョン)特使を通じて南の文在寅(ムン・ジェイン)大統領の招へいを呼びかけ、文大統領は「条件」付きで成功させていこうとうなずいていた。今回の北朝鮮訪問で、南北が首脳会談開催に合意したことはある程度条件が満たされたとのことを意味しているといえる。北が米朝対話に積極的に取り組むという意向を明らかにしたのが、その条件と見られるだろう。さらに、北が核兵器はもちろん従来の武器も南に対して使わないと明らかにしたことは、南の国民を安心させる措置という点から歓迎できる。南北首脳間の直通電話を開設することにしたことも、朝鮮半島冷戦の壁を崩す象徴的な大きな合意だ。
特使団の最も重要な任務は「米朝対話のための礎を用意すること」だった。南北はこの点で予想外の意見の接近を成し遂げた。体制の安全が保障されれば核を保有する理由はないという返事を北から受け取ったことは、今後の完全な非核化の道を開いたという点で重要な成果だ。また、朝米対話の事案として非核化の問題協議をはっきりと明らかにしたことも意味が大きい。北が非核化の協議とともに米国との関係正常化を米国との対話の事案として提示したことは、核放棄もありうることを示唆したものといえる。特に金委員長が「非核化は先代の遺言であり、先代の遺言に変わりはない」と明確に明らかにした点は注目に値する。北朝鮮が対話する間は追加の核実験や弾道ミサイル試験発射を再開しないと明らかにしたことも、韓国が求めてきたことなので意味が大きい。北が米国と対話するのに必要な策を提示したことで、南は朝米対話を仲裁する基本条件を確保したと言える。
残る問題は、今回の北朝鮮訪問の成果を持って米国を説得することだ。金委員長が「朝鮮半島情勢が安定期になれば米韓合同訓練が調整できると期待している」という立場を明らかにしているだけに、特使団は訓練の縮小または延期を米国と協議する必要がある。米国は対北朝鮮の特使派遣についてひとまず肯定的な反応を見せている。トランプ大統領が実際どのように出てくるのか、今は明言はしにくいが、北朝鮮が予想を越える大幅な譲歩案を出した以上、米国も拒否することは簡単ではないはずだ。しかも米国としても、ひたすら北朝鮮に圧力ばかり加えるわけにはいかない状況だ。対決の局面に戻った場合、中間選挙を控えたトランプ大統領にも負担になるほかない。朝米対話を始めることは米国の国益に沿うことであることを、特使団は説得しなければならない。また、朝米対話の糸口がつかめてこそ南北首脳会談も好ましい形で開くことができる。南北関係と米朝関係が好循環を成し遂げられるよう、外交力を総動員しなければならない時だ。