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[社説]平昌五輪に冷水浴びせる米国の浅はかな言動

登録:2017-12-08 23:10 修正:2017-12-09 08:23
ニッキー・ヘイリー国連駐在米国大使が6日(現地時間)、米フォックスニュースに出演し平昌五輪の参加について考慮すべき問題だと明らかにし、大きな波紋を呼んだ=米フォックスニュース放送画面キャプチャー//ハンギョレ新聞社

 米国行政府の官僚が、米国選手団の平昌(ピョンチャン)冬季五輪参加に関して理解に苦しむ発言をした。ニッキー・ヘイリー国連駐在大使が6日(現地時間)、フォックスニュースとのインタビューで、米国の選手たちの平昌五輪参加について「まだ解決されていない問題」(open question)と答えたことが発端になった。彼女は「まだ聞いていないが」という但し書きを付けたが「どのように米国人を保護するのかに関すること」という言葉も付け加えた。北朝鮮核危機のために選手団の安全が憂慮されるという趣旨だが、全世界に「韓国は危険だから気を付けろ」というメッセージを送ったに等しい。五輪の安全を保障しても足りない状況なのに、反対に「危機論」に油を注ぐようなものだ。きわめて不適切であるだけでなく、米国が真の同盟国なのかを疑わせるほどだ。

 さらにホワイトハウスのサラ・ハッカビー・サンダース報道官は7日、定例ブリーフィングで「五輪の開幕が近づけば(参加を)決めることになり、究極的にはトランプ大統領が判断することになるだろう」と話して混乱を煽った。五輪選手団の参加は、各国のオリンピック委員会が決めるもので、米国オリンピック委員会はすでに9月に参加を確認した。また、トランプ大統領は先月30日の韓米首脳通話で「五輪に高位級代表団の派遣を決めた」と明らかにした。これを見ても、ヘイリー大使とサンダース報道官の発言はつじつまが合わない。サンダース報道官は、ブリーフィングの直後、ツイッターに「米国は韓国で開かれる冬季五輪に参加することを待ちこがれている」という文を載せて、ブリーフィングでの発言を事実上“修正”した。

 こうしたハプニングが起きた背景には、外交官の経歴が一度もないヘイリー大使とサンダース報道官の資質の問題があるのだろう。朝鮮半島問題に対するトランプ行政府内部の認識の一断面をたまたま露呈したと見ることもできる。しかし、さらに深刻なことは、トランプ行政府に同盟国に対する配慮がなく、極めて自国中心的に同盟を眺め行動しているという点だ。ホワイトハウスを含む主要部署内部の政策調整がきちんとなされていないという米国内の指摘が多いが、今回の状況もそうした点に対する不安を加重する。

 韓国国内の一部保守陣営は、今回の事案を置いて朝鮮半島が本当に大きな危機に陥ったかのように不安感を助長している。きわめて誤った政略的態度だ。米国政府内部の調整されていない異見を、針小棒大に扱い、根拠なき危機論を広めようとすることは、彼らがしばしば口にする「利敵行為」に他ならない。

(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/opinion/editorial/822719.html韓国語原文入力:2017-12-08 19:22
訳J.S

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