20年前の1997年11月21日、韓国経済が国家不渡りの崖っぷちに追い込まれたことを受け、金泳三(キム・ヨンサム)政権は為す術もなく国際通貨基金(IMF)に緊急救済金融を要請した。国際通貨基金の強力な構造調整の要求を受け入れ、国民は血の滲むような月日に耐えなければならなかった。おかげで2001年8月、救済金融195億ドルを全額返済し、「IMF体制」を早期卒業することができた。
通貨危機は当時、外部の衝撃により外貨保有高が底をついたのが直接的原因だった。しかし、根本的には財閥経済や金融不良、政経癒着、不正腐敗など、長年にわたり累積してきた内部の構造的問題が一気に爆発して訪れた災いだった。
20年が経った今、通貨危機の直接的原因になった対外健全性は見違えるほど良くなった。1997年末204億ドルまで減っていた外貨保有高は、先月3845億ドルまで18倍以上増えた。世界で9番目に多い。1997年に103億ドルの赤字を記録した経常収支は、今年1~9月までの累積黒字が934億ドルに達する。おかげで1997年末に投機等級である「B+」まで下がった国家信用格付けは、現在11段階も上昇し、3番目に高い等級である「AA」を記録している。中国や日本よりも2段階高い。大企業と金融機関の安定性と収益性も大幅に改善された。20年前と同じ通貨危機に再び経験する可能性が非常に低くなったのだ。
この20年間、国民の犠牲により、このように政府と企業が生き延びたが、国民の暮らしは良くならなかった。韓国開発研究院(KDI)が14日に発表した「通貨危機発生から20年の国民認識調査」によると、最も多い32%が通貨危機の否定的影響として「二極化の深刻化」を挙げた。「失業問題の深刻化」(28%)と「非正規職の拡大」(26%)がその後を継いだ。国民が現実で経験している苦しみがそのまま反映されている。
通貨危機以降、非正規職が毎年増えており、昨年基準で849万人に達する。全体賃金労働者の40%を超える。通貨危機でリストラが日常化し、「一生の職場」の概念が消えた。職場から追い出された労働者たちが生計型創業に乗り出し、自営業者の過剰と家計負債の問題が深刻化している。所得の不平等はさらに悪化した。所得最上位10%階層の所得が全体所得に占める割合は1999年の32.9%から2015年には48.5%に拡大した。
通貨危機直後、最優先課題に浮上した財閥改革も、既得権勢力の反発に押され、形だけのものとなってしまった。財閥の経済力の集中はさらに大きくなり、皇帝経営もそのままだ。政経癒着の古い慣行も全く変わっていない。
経済の活力が低下し続けているのも問題だ。低成長が固着化しており、それさえも成長しているにもかかわらず、働き口が増えない「雇用なき成長」が続いている。1997年5.7%だった若者の失業率が昨年9.8%に跳ね上がった。体感失業率は21.7%で、若者5人のうち1人が事実上失業状態に置かれている。
通貨危機後に歪んだ社会・経済構造を正しく立て直さなければならない。ろうそくの要求も単純な政治権力の交代ではなかった。韓国社会の不平等と不公正を正さなければならないという要求だった。20年前は国民の犠牲で国家経済と企業が起死回生したが、これからは国民の苦しみを和らげ、生活の質を引き上げるべき時だ。政府が積極的に乗り出し、両極化を解消し、新しい成長動力を模索しなければならない。この過程で企業も社会的責任を果たすべきだ。