北朝鮮はなぜミサイルを撃ち続けるのか?文在寅(ムン・ジェイン)政府を手なずけようという意図であろうか、あるいは対米交渉を控えて身代金を引き上げようとしているのだろうか?「関係の視線」で北朝鮮の意図を解釈する必要がある。鏡の前に立ってみよう。自分が笑えば鏡の中の相手も笑う。北朝鮮の戦略は「最大の無理強い」だ。理由は簡単だ。まさに「最大の圧迫」に対応するためだ。圧迫を続ければ北朝鮮はミサイルを再び発射するし、必要ならば追加核実験もするだろう。最大の圧迫と最大の無理強いがぶつかる悪循環から抜け出さなければならない。
トランプ政権の「最大の圧迫と関与」政策の致命的誤りは、圧迫と関与の間を連結する戦略がない点だ。果たして、圧迫から関与にどのように切り替えるというのか?圧力を加えて待てば対話になるだろうか?それは過去の「戦略的忍耐」政策と変わらない。失敗した過去の政策を再び繰り返す必要はない。圧迫は自ずから関与に切り変わることはなく、無理強いを催促するだけだ。
また、最大の圧迫にも弱点がある。すなわち「最大」が最大になりにくいという点だ。すでに米国は軍事的解決や政権交替を追求しないと明確にした。圧迫の最大はそれなら決まっている。軍事的解決に近い封鎖まで行けないならば、圧迫の強度は制限的だ。現在推進している外交的孤立や制裁対象の拡大に果たして効果はあるだろうか?その程度で北朝鮮の態度を変化させられないことは過去10年の経験で証明された。
依然として最大の圧迫の核心は中国だ。北朝鮮の対外貿易自体が朝中貿易に他ならないためだ。中国は制裁には参加するが、国連の制裁決議以上を推進する意思はない。中国が賛成してこそ通過する制裁決議案は、正常な貿易を許容する。今年4月までの朝中貿易を見れば、中国の北朝鮮からの輸入は減ったが、北朝鮮への輸出は逆に増えた。朝露貿易も減っていない。中国とロシアが考える制裁の最大は、明確に米国とは異なる。利害関係が違うので、圧力を行使するところまでの最大に達するのはきわめて難しい。
最大の無理強いをどのようにすれば中断させられるだろうか?最大の圧迫は答ではない。もう失敗した政策を再び繰り返している余裕はない。北朝鮮の核問題で最も重く考慮しなければならない変数はまさに時間だ。北朝鮮は、すでに敷居を越えている。核兵器の小型化・軽量化を完成し、弾頭設計を催促している。運搬手段でも種類を多様化し、大気圏再進入技術を実験している。明確に核保有の最終段階に入った。
ここで止めなければならない。これ以上の状況悪化を防ぎ、現在の水準を凍結させる果敢な交渉が必要だ。問題が非常ならば、解答も非常でなければならない。文在寅政府は「時間の制限」を考慮して「事態の深刻性」を認識し「大胆な交渉」を準備しなければならない。韓国の国内的に、あるいは韓米関係において、民主的協議の過程で創意的な解決方法を探さなければならない。ずばりと言わせてもらえばこうだ。韓米首脳会談で「最大の関与」で合意することを望む。米国に行く前に、トランプ大統領を説得できる根拠を南北関係で用意してもらいたい。
歴史は汽車の駅ではない。どんなに人里離れた駅でも、列車に乗り遅れたら待てば良い。時間はかかるだろうが汽車はまた来る。しかし歴史は違う。歴史の汽車はしばしば来ることもなく、一度逃せばそれで終わりだ。北朝鮮の核問題が敷居を越えようとしている現在、世論の顔色を見ている暇はない。今必要なことは、状況悪化を防げる「最大の関与」だ。他の絵はそれから描いても遅くない。
キム・ヨンチョル仁済大統一学部教授