6日、韓国新聞協会の主催で新聞の日(4月7日)祝宴が開かれた。同協会は新聞社の社長の団体で、朝鮮・中央・東亜など大新聞の社長が順番に会長を受け持っている。
政治家たちも参加したが、国民の党の議員が一番多かった。一分一秒が惜しいはずなのに、安哲秀(アン・チョルス)議員が大統領候補としては唯一参加し、パク・チウォン、チョ・べスク、チャン・ビョンワン、チェ・ギョンファン議員など党指導部が総出動した。これに対し、旧与党からは自由韓国党のナ・ギョンウォン、正しい政党のチュ・ホヨン議員だけが身軽に参加した。二人の議員は紹介もまともに受けられなかった一方で、安哲秀(アン・チョルス)候補には乾杯の挨拶が任せられ「世間の人情って本当に恐ろしい」と思った。安候補は「レイアウト・インフォメーション」というマスコミ界の専門用語まで駆使し、精一杯に新聞礼賛論を展開した。安候補がマスコミに非常に気を遣っていることが実感できた。パク・チウォン代表もこの頃、主要報道機関の社長、編集局長にこまめに会っているという。
これをあえて恨むものではない。だが、この頃の保守マスコミと安哲秀の“蜜月関係”は、あまりにも粘っこく見える。根拠をあげつらうことはできないので、「大統領選挙メディア監視連帯」が出した評価書のタイトルにのみ目を通そう。「テレビ朝鮮の突然の安哲秀持ち上げ」「文在寅(ムン・ジェイン)にだけは勝とう!反文連帯の野合督励に出た朝鮮」 「文在寅以外の残りは“似ているところ”を見つけて“連帯”しろという東亜」 「中央日報フェイスブック、露骨な偏向性あらわす」などだ。
“偏った”市民団体の評価ばかりとは言えない。朝鮮日報編集局長出身のカン・ヒョサン自由韓国党議員も疑問を提する。彼はチェ・ドンウク検察総長追い出しの先頭に立った人物だ。そのような彼が11日、あるラジオ番組に出演し「最近マスコミが文在寅-安哲秀の二者対決に追い込む傾向がある」として「このような大統領選挙構図をマスコミが作り出すのは不公正で不合理なだけでなく、何らかの意図があるのではないかと心配になる」と話した。
安哲秀候補も保守マスコミの支持と声援に応えている。THAAD反対から賛成に180度態度を変えるなど、最近の右旋回はおそらく保守マスコミを意識した結果と見られる。これまで大統領選挙を控えた政治勢力どうしの連帯は、たいてい候補と政党が中心だった。ところが今回は特異な現象が起こっている。候補と政党はじっとしているのに、支持層の大移動が起き“反文在寅連合戦線”が作られている。その首脳部に保守マスコミがいる。反文戦線の総司令部であるわけだ。
保守マスコミの作戦が成功するならば“安哲秀大統領”が助けてもらったことを知らないふりをすることは難しいだろう。議席数40議席の小政党なので、マスコミの支援は一層欠かせなくなる。保守マスコミとしては、安哲秀を牽引し捕獲するのに成功することになるだろう。財閥に肩入れして、セウォル号を皮肉り、国定教科書を擁護したマスコミは、その後も指導と鞭撻を惜しまないだろう。ドタバタ劇へと猛進する総合編成チャンネルに手を入れることはとても及ばないだろうし、公営放送の改革も水泡に帰すことになるだろう。文化放送のキム・チャンギョム社長は先占に成功するだろうし、解職記者のイ・ヨンマ氏の病気はさらに悪くなるのではないだろうか。
私が祝宴に行ったのは、韓国新聞協会が賞を授与するというからだ。「朴槿恵(パク・クネ)-チェ・スンシル ゲート」を暴いた功労を認められた。私だけでなく多くの記者がろうそく集会政局で久々に国民からお褒めを受けた。ところで、保守マスコミの社長が以前以上に大きな力を持つことになるならば、この間現場の記者たちが流した汗の雫はどこに帰着するのだろうか。行事が終わった後、先輩後輩たちと連れだって一杯飲み、ひどく酔ってしまった。ふらふらで家に帰り、倒れて膝を傷めた。新聞協会がくれた賞牌も片方の隅が壊れてしまった。ああ、しまった!