登録 : 2015.07.14 08:22 修正 : 2015.07.15 07:30

ソウル大学正門//ハンギョレ新聞社
 ソウル大工学部が最近出した「いい大学を越え卓越した大学に」という白書は、量的な成長を遂げても質的成果では極めて貧弱な韓国の大学の現実を如実に示す告白書に値する。大学風土を野球に例え「バントを打って着実に1塁に進出する打者」ばかり量産していると批判し、「学問の世界では満塁ホームラン(卓越した研究成果)だけが記憶される」と指摘した課題は、痛恨の自己反省でもある。その原因として「教授に短期間で成果をあげることを強要し、研究の質より量を強調するシステム」などを挙げ、「卓越した研究成果はいつ得れるか予測不可能なので、低い成功確率に挑戦できる文化がなにより必要だ」と強調した。

 このような問題はソウル大工学部だけでなく、他の学部や専攻分野にも一般化し得る内容だ。論文数や引用頻度などの客観化した指標で研究業績を評価する流れが定着し、研究の多様性と創意性が損なわれていると批判されて久しい。教授が研究費を引き出すために過度な外部活動に乗り出すのも見慣れた光景だ。高等教育に対する公的投資規模も、経済協力開発機構(OECD)加盟30国のうち22位の水準だ。長期的で安定した研究支援が不足し、それなりに充実した支援も官僚主義が支配している。

 このような現実を打開するには、自律性と創意性という価値に注目せねばなるまい。大学の政策として、産業界の人材需要と就職率などを前面に打ち出すような接近の仕方からして、これに逆行する。白書が指摘するように「我が国の産業が速い追従者に留まっている点」が新しい研究成果を妨げる障害物として作用しているのだが、大学が産業を先導できる条件を用意できないどころか、補助的な位置に位置づけられているのは本末転倒である。大学社会がより多く自律を謳歌してこそ「満塁ホームラン」を狙う創意的研究も活発になる。工学部だけでなく人文学・基礎学問分野も同じだ。

 今回の白書は、大学はもはや国家競争力を支える柱ではなく、停滞した既得権社会にすぎないという痛烈な警告でもある。現実に安住している教授の奮発を促す重大な課題にも傾聴すべきだ。未来を導く進取的人材を育てるどころか、安定的職場を得るための資格を積む場に変質している大学教育も一緒に見直すべきだ。政策当局と各大学がこの問題意識を切実に受け入れなければ、国の暗鬱な未来に対する白書の警告はいつのまにか現実になってしまうだろう。

(お問い合わせ japan@hani.co.kr )

韓国語原文入力:2015-07-13 18:33

http://www.hani.co.kr/arti/opinion/editorial/700004.html訳Y.B

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