北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)国防委員会第1委員長(金第1書記)の恐怖政治が続き、北の幹部の間で彼の指導力に対する懐疑的見解が広がっていると国家情報院が13日明らかにした。事実ならば並大抵の深刻さではない。長引く恐怖政治は、結局は深刻な反発を招くほかないということを金委員長は悟ることを望みたい。国際的批判と孤立を避けることができないのはもちろんである。
国家情報院の国会報告によると、北朝鮮の軍部内序列2位であるヒョン・ヨンチョル人民武力部長は4月末ごろ電撃的に粛清された。数百人が見守る中で高射銃で公開処刑されたという情報もあるという。航空機やヘリコプターを迎撃するのに使う武器を処刑の道具に使ったとのことで、これは2013年12月のチャン・ソンテク労働党行政府長の処刑時の残酷さを思い起こさられる。国家情報院が挙げた粛清理由は金委員長に対する不満の表れや指示不履行である。最高権力者に対する不敬や不忠が問題になったのである。国家情報院はこの他に今年に入って15人の高位幹部が処刑され、粛清された人物も多数にのぼると明かした。
金委員長が恐怖政治を続ける背景について様々な推論が可能だ。まず執権4年目で、まだ権力基盤が確固とせず、周辺者たちに対する不信が大きいこともある。若くして最高権力者になった彼は北朝鮮で正式に学校に通ったこともないなど、政治的同志といえるだけの勢力を作る機会が足りなかった。自尊心の強い彼の性格も指摘されている。国際的な孤立と経済難などによる焦燥感が手荒らな行動として現れているのかも知れない。これに関連してヒョン・ヨンチョル部長が粛清直前にロシアを訪問したものの、金委員長のロシア訪問が行えなかったことが注目されている。
どうであっても金正恩式の恐怖政治は、反人権的で反歴史的である。高官に対する恐怖政治は北朝鮮住民に対するものでもある。中国などでも高官に対する粛清が行われるが、北朝鮮と違って腐敗などの明らかな名目を指摘し、それなりの法的手順を踏んでいる。恐怖政治は南北関係をはじめとする対外関係にも否定的な影響を与えるほかない。高官まで不安に脅えねばならないならば、安定的に対外関係を進めるのは容易でないためだ。
今北朝鮮にとって必要なことは恐怖政治でなく、粘り強い改革と開放だ。体制の安定は恐怖政治でなく国民の暮しを向上させて信頼水準を高めることによってなされるものだ。金正恩委員長は世界が自分をどうみているかを振り返ることを望みたい。
韓国語原文入力:2015/05/13 18:22(1134字)