本文に移動

[社説] セウォル号を忘れたいなら「同調断食」市民の声に耳を傾けよ

登録:2014-08-31 10:08 修正:2014-09-01 07:50

“ユミンの父さん”キム・ヨンオ氏の断食は終わったが、市民の「同調断食」はむしろ増える一方だ。宗教人、学生、障害者、父母など、断食座り込みの隊列に合流する市民の年齢と職業は様々だが、この現象が意味することは明らかだ。満足のいくセウォル号特別法の制定が、単に遺族だけの願いではないことを示すものだ。

 市民の同調断食は、絶望と挫折に陥った遺族に対する暖かい激励の手助けであり、遺族を決して孤独に放置してはならないという連帯のサインだ。被害の当事者が罵倒され冷やかしを受けるという倒錯した事態に対する怒りと思い遣りの意思表示でもある。この間、一部の勢力は遺族に対して、国会を無視し社会的葛藤を煽る集団だと名指ししてきた。増加する断食参加者たちの動きは、このようなあきれた認識に痛烈な警告を与えている。

 市民の断食はまた、無能で無責任な政界に対する峻烈な批判であり、全責任を国会に押しつけて、知らぬ振りで一貫している朴槿恵(パク・クネ)大統領に対する強力な抗議の叫びだ。市民が特別法問題により強い関心を持ってこそ、大統領も遺族に気を遣い、政界も政治力を発揮するとの信念が、多くの市民を断食座り込みの場に導いている。“ユミンの父さん”をはじめとする彼らの断食は、一度は忘れられていたセウォル号事故の事後収拾問題に対する世論を喚起する起爆剤となった。これからは市民がそのバトンを受け継ぎ、セウォル号特別法を仕上げようと立ち上がったのだ。

 このような市民の願いを、大統領府と政界がまともに受け入れるか疑問だ。セヌリ党はこの日も現行の常設特別検事法の固守を主張し、真相調査委員会に捜査権と起訴権を付与せねばならないという遺族の要求を公開の場で一蹴した。チョン・ホンウォン国務総理は、セウォル号特別法制定問題には一言も触れず、国会正常化のみを促す気の抜けた対国民談話を発表した。特にセウォル号事故の収拾費用準備のために「ユ・ビョンオン法」(犯罪収益隠匿規制処罰法)の通過を催促しておきながら、真相究明問題には口を閉ざした点にいたっては、セウォル号事故の責任をとって職を退き、その後に留任となった総理としては、実に厚かましいかぎりだ。

 多くの人がセウォル号事件への疲労感を口にしている。もうセウォル号事件の悪夢から抜け出て、一日も早く日常に戻ろうと言う。一理ある言葉だ。しかし、その言葉がでたらめなセウォル号特別法制定を合理化する根拠になってはならない。セウォル号に対する疲労感から抜け出す最も早く現実的な道は、遺族の願いを最大限に満たす特別法を作ることにある。あまりにも自明な解決法を放置して、不必要な綱引きをすること自体が誤りだ。誰よりも一日も早く日常に戻りたい人は、同調断食をした市民自身だろう。

https://www.hani.co.kr/arti/opinion/editorial/653401.html 韓国語原文入力:2014/08/29 18:18
訳M.S(1243字)

関連記事